対談1:海外校と連携!新たな国際教育が地域を活性化させる〜

少子化、人口減少、頭脳の海外流出

日本が抱える問題に、国際教育の視点からアプローチ。

国内大学の国際化をリードしている立命館大学でグローバル戦略を推進する今川新悟さんと兵庫県姫路市で「SDGs×教育×地方創生」に取り組む姫路女学院高等学校を運営する摺河学園学園長山田靖さんが、それぞれの戦略、これからの可能性について対談。日本のグローバル教育について、一緒に考えました。


対談1は、本ページです。
対談2は、こちらです。
対談3は、公開予定です。


▽ Youtubeでは、国際高等学校開設準備室のケリー校長、早川事務局長も参加された「国際教育の最前線 Vol.1 SDGsを通じた国際教養人としての次世代リーダー育成とは?」を公開中!


本対談で話されていない「こぼれ話も楽しみです」。

世界中から大学を選ぶ時代に選ばれる学び!立命館大学のジョイント・ディグリー・プログラムに見る可能性

編集部:日本の大学の国際化をリードされている立命館大学では、海外の学位がとれるプログラムがいくつかありますが、アメリカン大学とのジョイント・ディグリー・プログラムは、立命館大学とアメリカン大学との共同学位の授与ということで、とても興味深い仕組みですね。

今川氏:本学は、西日本初の国際系学部を1988年に開校して以来、教育のグローバル化に積極的に取り組んできました。年間約2,300名の外国人留学生を受け入れ、全世界68ヶ国・地域、461大学と留学協定を締結しています。

2018年度にスタートしたアメリカン大学とのジョイント・ディグリー・プログラム(JDP)は、日米二つの大学が一つのカリキュラムを編成し、卒業時には両大学連名で一つの学位(グローバル国際関係学学士)を授与するという、日本初のプログラムです。

▽ 立命館大学とアメリカン大学とのジョイント・ディグリー・プログラムの公式Youtube。

学生は、本学の国際関係学部立命館大学・アメリカン大学国際連携学科に入学すると、同時に、アメリカン大学の看板学部であるSchool of International serviceにも所属。4年間のカリキュラムを2年間ずつ双方の大学で学び、卒業後は、両校の卒業生としてキャリアを歩んでいくことになります。

1つの専門分野を学び、1つの学位を取得するため、2学位同時取得のカリキュラムに比べ、修得必要単位数が少なく、費用も抑えることができます。

1学年の定員は25人。入学試験も双方の大学基準で選考しているので、選考基準のハードルが高いですが、その分、大変優秀な学生が集まっています。

また、本学には、海外大学の学位が同時取得できるプログラムとして、デュアル・ディグリー・プログラム(DDP)もあります。

これは、本学と海外大学の二つの大学から、それぞれ異なる学位が授与されるプログラムです。二校との間で履修した単位を互換しあう形で双方のカリキュラムを修了します。

本学では、グローバル教養学部でオーストラリア国立大学と、国際関係学部国際関係学科グローバル・スタディーズ専攻でアメリカン大学他2校とのプログラムがあります。

▽ 立命館大学グローバル教養学部とオーストラリア国立大学のデュアル・ディグリー・プログラム(DDP)の公式Youtube。

二つの大学から二つの異なる学位を4年間で取得するプログラムですので、極めて多くの単位修得が必要になりますが、中国・韓国・東南アジアなどからの留学生、二重国籍を持つ帰国子女など多国籍・多文化の学生が学んでいます。

編集部:両プログラムにはどのような狙いがあるのでしょうか

今川氏:世界レベルの学びを提供し、世界で活躍できる学生を育成することが使命であることはもちろんですが、優秀な留学生や日本人学生の海外流出に歯止めをかける狙いもあります。

世界中から大学を選ぶ時代に、優秀な留学生から選ばれる大学であることは、少子化が進む日本の大学にとって、非常に重要な課題です。

特に、JDPは、コストを抑えながらも、グローバル社会で通用する確固たる学びの質を担保できるのが魅力の一つ。

優秀な留学生が集まり、国内の学生とともに学びあい、高めあう環境を提供し、本学で学ぶことの魅力につなげていきたいと考えています。

編集部:山田さんは、まさに、大学に人材を送り出す側のお立場ですが。日本の大学のこのような動きを受けて、どのように思われますか?

山田氏:姫路女学院高等学校を運営する学校法人摺河学園の学園長として、外務省からの官民人事交流で20199月に着任、当学園の教育改革に携わってきました。

摺河学園山田基靖学園長が監修された絵本「わたしがかわる みらいがかわる SDGsはじめのいっぽ」が刊行されました。リベラルアーツ教育の一環でSDGsについて 積極的に学んでいます。

今川さんのお話にありましたが、日本の高等教育機関が、その存続意義をかけて海外大学との連携や共同を進めていけば、必ずそこに新しい価値観が生まれます。

つまり、学ぶ場が日本にありながら、グローバル教育に必要である多様な価値観を知ることができ、世界とのつながりがみえるようになります。

進学する側からみるととても魅力的だと思います。

だからこそ、今度は、初等・中等教育の段階でも、多様性への理解を含めた意識改革を進めなければ、と感じています。姫路女学院では、2021年度から海外大学進学プログラムを始動しますが、このプログラムが意識改革の大きな役目を果たすことになると思っています。

編集部:具体的には、どのようなプログラムですか?

山田氏:海外大学進学プログラムは、二つのプログラムがあります。

一つは、アメリカの私立名門高校「The Providence Country Day School」(PCD)との卒業資格が同時に取得できるデュアル・ディプロマ・プログラムです。

海外高校の卒業資格が同時取得できる高校は、国内にいくつかありますが、新しい仕組みなのは、オンラインと組み合わせることで、現地に通わず、姫路に居ながらにして日米両校の高校卒業資格が取れる点です。

双方の学業成績が一定以上であれば、英語力テスト(TOEFL等)、米国内学力証明テスト(SAT等)不問で、PCDとパートナーシップを有する18の大学へも進学することができます。

▽ PCDの単位取得の仕組み PCDの公式サイトより引用。

もう一つは、カルフォルニア州立マーセッドカレッジ(MC)との国際高大連携プログラムです。姫路女学院のカリキュラムを修了した生徒は、英検2級以上の英語力を有することを条件に、8週間の英語研修プログラムを経て、MCに進学することができます。

▽カルフォルニア州立マーセッドカレッジ(MC)の公式インスタグラムのスクリーンショット

MCから同州立4年制大学への編入や、カナダなど提携する大学への進学実績もあり世界中の大学に進学する機会を得ることになります。

当校の海外進学プログラムは、学校側がそういう舞台を用意したという点で、新しい一歩であると思います。

生徒たちに、「アメリカの大学に行きなさい」ということを提示しているのではなくて、選択肢を並べてあげることができたことに意味があります。

卒業後の進学先に、海外大学も選べる、となれば、生徒たちは、自分の将来について現実味をもって、真剣に考え始めるのです。

この時に初めて「グローバルな舞台で生きていく」ということを、自分のこととして捉えることができるでしょう。
その感覚をもって、進学先を選んでほしいのです。その選択肢の中に、立命館大のDDPやJDPがあるのは、生徒にとってもメリットだと思います。

▽ 姫路女学院の改革を含めた山田学園長の話は、こちらのYoutubeでもお聞きできます。


編集部:立命館大のプログラムも、姫路女学院のプログラムも、グローバル教育の最先端のカタチだとおもうのですが、拠点は日本にあるとこが面白いですね。

山田氏:日本は島国であるせいか、世界に出ないとグローバルではない、という感覚が残っている部分があると思います。

もちろん、世界へ出て、知見を広げること、経験を増やすことは大事だと思いますが、「どこにいるか」がグローバルであるかを決める要素ではなくて、どこにいても、世界とつながり、多様性を理解することがグローバルであると思っています。

ですので、拠点が日本であっても、多様性を理解できる環境があること、それを教育機関が整えはじめていることは、これからの日本の強みになると思います。

対談2は、こちらです。 https://edujump.net/internationaleducation/2647/

記事:原知子、WEB構成:村田学

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