ホームインターナショナルスクール国際教育連載5: 国際バカロレア幼児初等カリキュラムPYP(3歳~1...

連載5: 国際バカロレア幼児初等カリキュラムPYP(3歳~12歳)の基礎知識

3. PYPにおける概念学習

PYPは教科横断型であり、教科横断型のテーマを学ぶ過程で教科ごとの「知識」を学ぶということを説明しました。次に、学ばせたい5つの学習項目のうち2つ目の要素である「概念(コンセプト)」についてお話しします。「概念」をカリキュラムの柱として学ぶ、というのはどういうことでしょうか。

これは、文脈を伴わない科目別の暗記学習よりも、現実社会に即した科目を超えた普遍的なものの考え方(=概念、Concept)を獲得する学習がより重要だ、という考えに基づいています。この考えに基づき、IBはPYPの開発に当たり、世界中各国の教育システムのカリキュラムモデルを分析し、普遍的な以下の8つの概念を特定しました。

これらは、生徒がある課題や事象に出会った際に、どのように「考える」かを助ける、最も基本的で普遍的なフレームワークです。

そして先生にとってこの8つの概念は、子どもたちの好奇心を誘発したり、探究を深めることを促す「重要な問い」を作る道具立てとなります。下記は、一見小難しいこの8つの概念を、家庭でも応用できそうな、考えるための「問いのネタ」としてすこしデフォルメして表にしてみたものです。

概念
問いのネタ
特徴
どんなものかな?なにが見えるかな?~と似てるかな、違うかな?
機能
どうやって動くのかな?どんな役目があるのかな?
原因
なんでそうなるのかな?~になったね。なにがあったのかな?
変化
どう変わっていくのかな。
関連
~とどうつながっているかな。~(行動・現象)は~にどんな影響を与えるかな。
視点
~みたらどう見えるかな?~な考えはどう思う?~だったらどう感じるかな?
責任
~はなにをすべきかな?~はどうするといいかな?
振り返り
どうしたらわかるかな?~はどうだったんだろう?

「概念学習」というと少し小難しいが、家庭での会話でも応用できそうなツールだな、と感じて頂けたでしょうか。

例えば動植物をテーマの材料に設定した場合、以下のような問いが考えられます。

ある動植物の「特徴」を理解し、「機能」を考えさせる問い
成長によりどのように「変化」するかを考えさせる問い
ある機能はなぜあるのかの「原因」を考えさせる問い
ある現象は他の現象にどうつながっていくかの「関連」を考えさせる問い
人の生活を自然や動物といった別の立場・「視点」から見るとどうかを考えさせる問い
そこから生じる私たちの「責任」はどのようなものかを考えさせる問い
「振り返る」と、なにがわかって、なにが分かっていないのかを考えさせる問い

このような、概念に基づく問い→探究の繰り返しにより、本質的な「考える力」を身につけていきます。さらに与えられた問いだけでなく、自ら問いを発し、それが子どもにとっての探究の種になることを意図しています。

探究型学習と体験学習の違い

ここで、いわゆる体験学習と探究型の違いに言及します。

体験学習では、体験を通じて、様々な事象を理解する。
探究型では、事象を理解するにとどまらず、さらにその上の概念レベルまで理解し、他への転移応用ができることを狙うことを目的としている。

例えば生物のライフサイクルを学ぶ場合、幼虫からさなぎになり、成虫になると言う事象を理解するにとどまらず、最終目的は生物の変化やその影響について、という概念について学ぶことが目的となります。

さらに探究型に基づく概念(コンセプト)ベースの学びと、伝統的な学び方としてのトピックベースの学びを比較してみます。

トピックベースでは、様々な事実や現象(Facts)を学んだり、覚えたりする。
概念ベースの学びは、事実や現象その上位に、概念化がある。例えば動物について学ぶ、ということがあった場合、様々な動物を覚えたり、特徴を知識として知るだけではなく、動物を通じて、ライフサイクル(変化)や、多面的な見方(視点)といった上記の抽象化された概念を獲得する、ということになる。

GO SCHOOL 子ども英語オンラインスクールAOBA-JAPAN BILINGUAL PRE-SCHOOL 2023年度 入学生募集中MIST Musashi International School Tokyo

関連記事