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連載5: 国際バカロレア幼児初等カリキュラムPYP(3歳~12歳)の基礎知識

2. 科目別ではない教育体系

最初の指摘として、日本の学校でもなじみのある「言語(国語)」「算数」「理科」「社会」「体育(身体・人格・社会性)」「芸術」といった6つの教科は、PYPにおいても、の知識体系を構成する更なる細かい要素として、確かに規定はされています。各教科ごとの「学習範囲と順序(Scope & Sequence)」というガイドラインで、段階別の各発達段階ごとの到達目標が記載されています。

しかしながら、PYPでは知識を各教科別ごとにで教育することを、理想的な教育とは考えていないのです。全部ではないが、大部分において、「教科横断型(Transdisciplinary)」で学ぶこと、とされています。

この考えに基づくと、例えば国語分野のひとつに文字教育があるが、ひらがな文字がどれだけ書けたかけたかはゴールではなく、言語を通じて、論理的思考力を養い、論理的思考力を通じ、言語を使って自己表現力を増やすことに評価上の重きが置かれます。

算数分野であれば、九九や暗算はゴールではなく、数を使って現実的な課題を解決することが重視されます。

教科横断型の学びとは?

では、教科横断型の学びをどのように行うのだろうか。PYPは1年間に行う教科横断型のテーマとして、以下の6つを選定しています。

テーマ
学習内容
私たちは誰なのか(Who we are):
自分自身の価値観、家族やコミュニティとの人間関係と責任
私たちはどのような場所と時間にいるのか(Where we are in place and time):
社会的な内容が含まれる
私たちはどのように自分を表現するのか(How we express ourselves):
自己表現や創造性の発展
世界はどのような仕組みになっているのか(How the world works):
自然界・科学の法則等。理科的な内容が含まれる
私たちは自分たちをどう組織しているのか(How we organize ourselves):
組織、社会、経済活動の仕組み
地球を共有するということ(Sharing the planet):
地球資源について、ほかの生物とのかかわり

上記を見ると例えば②や⑤は科目別で言えば「社会」、④や⑥は「理科」が近いように見えます、社会や理科の科目別の内容を教えることは意図しておらず、どのテーマであっても、「言語」「算数」「社会」「理科」さらに「芸術」「体育」も含め、統合的に学んでいくことが意図されています。

ところで、なぜこの6テーマが選ばれているのでしょうか。

流れとしては、まず、自分自身について知ること(①)、その上で自分をとりまく社会について(⑤)、その社会でどのように自分をいかすのか(③)、自分を取り巻く社会の枠を広げるための地理的・歴史的視点(②)、さらに社会を取り巻く自然と科学を理解し④、地球視点でものを考える⑥、と、様々な視点を持たせながら最後は地球規模てものを考えるよう、選定されているといえそうです。

6つのエリアの1単元(Unit of Inquiry)は、発達段階を考慮し、3-5歳の間は年4つ程度、5-6歳以上は、6つ全てをカバーするよう設計します。

毎週の時間割を見ると、教科特化型の時間はあまりなく、テーマ学習時間が太宗を占めます。分かりやすく言えば、殆どの時間が日本の教育で言う「総合的な時間」なのです。

「総合的な時間ばかりで、知識体系をしっかり詰め込めるだろうか?」と疑問に思う方もでるでしょう。日本のカリキュラムと比べればここは明快で、PYPでは、探究型学習にとって重要でない細かい知識は、無理して詰め込まない、と、ある意味割り切っているといえます。

学年ごとに、カバーすべき知識体系があり、その網羅性をきちんと重視するというのは、日本のみならず一般の諸外国(国際カリキュラムのケンブリッジ国際もそうですが)のカリキュラムと、IBが大きく異なるのは、この点である。

この理解が十分でなく、保護者がIBスクールを選択すると、途中で不安になる方が出てきます。例えば、IBにおいて算数教育が一見弱いように見えたとして、IB教育とはある意味逆の記憶中心型の塾に行かせたくなるかもしれません。しかしその結果、IB教育の効果が減じるかもしれません。

一つ注意したいのは、PYPにおける年間6つのテーマ設定は各学校にゆだねられていることです。IBはカリキュラム自体は提供していません。IBはPYP責任者を含む複数の教師の共同作業を通じ、学校全体の責任において作成することが義務付けられているので、個々の教師の興味関心で授業が成り立ってしまうことを仕組みとして防いでいます。ただし保護者としては、偏りが無いことを見極める目も必要となるでしょう。

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