コロナでも、子どもの力を伸ばす!家庭での接し方〜オーストラリア発〜
新型コロナウイルスの感染拡大による休校で、家庭での学習の比重が増しています。
オーストラリアでは3月中旬に感染者が急増し、拡大を抑制するため、下旬には通勤・通学や必要な買い物以外は自宅待機が要請されました。
シドニーのあるニューサウスウェールズ州では、子どもたちも家にいることが奨励され、学校はオンライン授業に移行しました。*1
オーストラリア国立教育研究所*2は4月、「効果的な学習のために親ができること」*3という記事を公開しました。
会話の工夫や、ちょっとした働きかけによって、親は子どもの力を伸ばすことができるという、研究に基づいた助言があるので一部を紹介します。
突然の休校で、デジタル機器などの環境が整っていない家庭もあるはずですが、わたしたちは、環境の不備が今後の学力格差につながらないようにしなければなりません。
家庭での学習環境では、親の役割がより大きくなります。
親は教師の代わりを務めるのではなく、学校で教師が行うことを支えることが大切です。
中心になるのは、子どもたちが学ぶための準備を手伝うこと、準備ができて授業に集中できる状態を確実にすることです。たとえば、
・決まった日課と、学習習慣(勉強ぐせ)を身につけることを手伝う
・気が散ることのない静かな空間を確保すること(学習に不要な携帯電話やデジタル機器は片付けるよう言う)
・教師や同級生と交流するための、インターネット接続やビデオが利用できる家庭用コンピュータを用意すること
・筆記用具や電卓など、その授業に必要な文房具を用意すること
子どもへの支援のレベルや関わり方は、子どもの年齢に応じて変わります。
では、具体的に幼児、小学生低中学年、高学年以上でポイントを知りましょう。
幼児向け:会話や読み聞かせを通して、子どもの話す力を育てます。
・子どもの経験や生活、関心のあることについて会話をする
・視線を向ける、短いことばをはさむ、表情や身振りを使うなど、積極的に聞く姿勢を見せる
・子どもが言ったことを、より複雑な語彙で言い換える。
例)「あ、鳥がいる」と子どもが言ったら「あら、そうね。木にヒインコ(鮮やかな色の鳥)がいるのが見えるわ。色がたくさんある虹のようね」と応じるなど。
小学生向け
下記のORIMの枠組みで、読書などの活動を手助けします。
・O「機会づくり」 (Opportunities)-本やその他の印刷物
・R「認知」 (Recognition)-子どもが参加したときにほめる、注意を払う
・I「交流」 (Interactions)‐一緒に活動に取り組む
・M「手本になる」 (Modelling)‐スキルを見せる
小学校高学年以上
目標を決めること、忍耐力をつけること、時間や素材、注意力、感情の管理の仕方など、学習目標を達成するために必要な、子どもの自律を促します。
親は、子どもと一緒に本を読むことや話すこと、そして自律を促すことで、子どもを支援することができるのです。
広大なオーストラリアでは、通える範囲に学校がない地域に住んでいる子どもたちが、全体の2割程度います。
インターネット以前から、郵便やラジオなどを使った通信教育が行われてきた背景があり、遠隔授業や家庭学習についての研究の蓄積があるのを感じます。
編集部では、今後も海外の事例をご紹介します。
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記事参照元
*1 ニューサウスウェールズ州の告知 https://preview.nsw.gov.au/media-releases/new-covid-19-restrictions-begin-as-schools-move-towards-online-learning
*2 Australian Council for Educational Research:ACER
*3 Working with parents to provide practical strategies for home-supported learning