インター生、帰国子女…… グローバルキッズの中高選び <vol.2>

グローバルキッズの中高選び <vol.2>

著者:岩辺みどり

 海外からの帰国子女、インター生、日本以外にもルーツを持つ子どもなどグローバルキッズたちの教育で悩む、1つのターニングポイントが、中学進学。

  留学生や帰国生、インター生の進学サポートを長年行ってきたGLICC代表で、海外帰国生教育研究家でもある鈴木裕之さんに、そうしたグローバルキッズたちの進学選択肢について聞きました。連載でお届けします。


GLICC代表 鈴木裕之

株式会社スタディ・エクステンション代表・大手予備校での日本語指導をはじめ、留学生や帰国子女のサポートなど、25年以上の指導経験を持つ。現在は都内の私立中学・高校の放課後学習支援に携わりながら21世紀型教育機構の事務局を務める。GLICCは、小学生から高校生まで、国際生や帰国子女への国内学校、インター校、海外学校の進学サポートや対話を生み出すクリエイティブコースなどを提供し、合格に導いている。
公式ホームページ:https://glicc.jp/


第2回 2022年私立中学入試、国際生の動向から見えるものは?>

 第1回はこちらを参照ください。

ーー2022年度の国際生入試から見えてきた傾向や変化はどんなことでしょう?

 これまでは、海外体験や国内インターでの英語の強みを活かしながらも、日本国内の大学進学を視野に入れて私立中学受験をする人たちが主流でした。

「我が子は英語が得意だし、英語を活かして大学受験が有利になればよい」という考えが多かったように感じます。あくまでも国内の大学序列を前提にした英語力だったわけです。

 しかし、最近では国内で育ち、日本の小学校などに通っていても習い事や家庭学習で英語が強いお子さんも増えました。小学生全体の英語レベルが高くなったことや、コロナ禍でオンラインによる英語学習が身近になったこともあって、保護者は受験科目の一つとしてよりも、グローバル社会におけるサバイバルツールとしての英語に重きを置くようになっています。

 そのため、学校を選ぶ視点も、高い英語資格が取得できるかどうか、あるいは大学合格実績ということよりも、「海外やインターでの学びを活かして世界を舞台に活躍できる人になってほしい」という理由を挙げる保護者が増えています。

 その意味でも、「グローバルなマインドの育つ、優れたプログラムを提供している学校を選びたい」と、英語だけでなくカリキュラム全体への関心が高まっているのを感じますね。

――そうなると、これまでの偏差値を中心とした第一希望の選び方ではなくなってきているのでしょうか?

 学校選びの最初の段階では、やはり保護者の方々は偏差値での学校ランクや、進学実績から見て優秀な生徒がいるというイメージを持って、学校を見ている人も多いです。

しかし、学校のリサーチを進め、受験時期が近づいていくに従って、もっと中身にフォーカスする人が増えてきます。

――では、どんな視点を持って学校選びをするといいのでしょうか?

 今後、世界で活躍することを望むのであれば、他人とは違う、自分ならではの強みがあることは欠かせません。他人と同じ土俵で相対的な位置を競うような勉強ばかりしていると、自分らしさや個性を磨くことがおざなりになる危険性もあるわけです。

 英語の使い手になる(あるいは複数の言語を身につける)ということは、日本語を使う際に発揮される日本特有の価値観を相対視する能力を身につけることでもあります。その意味で、大学受験のための英語にとどまらない、オールイングリッシュの授業が学校内で広がっている学校というのは、グローバル時代に必要な能力を見据えている学校だといって良いでしょう。

 このような授業は、偏差値の高い学校だから行われているというものではありません。むしろ、伝統的な進学校の中には、大学受験に役立つ英語以外は切り捨ててしまうことすらあります。小学生時代に「英語耳」を形成していた子どもにとって、英文法や訳読中心の一斉授業は退屈以外の何物でもないはずです。

 「自分の息子や娘が入学したときに、どういう環境で学ぶことができるのか」「自分の子供はどう成長できるのか」という観点が必要です。一般的に言って、帰国生がたくさん入学する学校というのは、やはり英語学習環境も多様性に配慮していると言えます。

 周囲の噂や、他のご家庭の意見に惑わされず、「我が子が入ったら・・・・・・」という視点でこの先の6年間の学校生活をイメージしてみることは大事です。

――そうなると、国際コースなどがない学校にも、選択肢は広がっていきますよね?

 はい、最初は広尾学園や三田国際だけを見ているご家庭も多いですが、学校生活には勉強はもちろんのこと、行事や部活などもあります。学校の雰囲気、通学距離なども異なるでしょう。

 インターナショナルコースがなくても、国際生・帰国生が比較的多い学校もあります。前回もご紹介した、かえつ有明、富士見丘、八雲学園、聖学院などの他に、大妻中野、攻玉社(英語取り出しクラス)、都市大附属、頌栄女子学院、都市大等々力、湘南白百合、和洋九段(英語のグローバルクラスもあり)、聖ドミニコ(英語コース)などですね。開智日本橋などの人気も高まっていますね。

 英語だけでなく、その学校が大学受験の合格実績だけにとらわれないような新しい教育を始めようとしているのか、新たな教育などについてオープンなマインドを持っているのか、というところもポイントですね。

世界標準の新たな教育に関心の高い学校が加盟している「21世紀教育機構」の学校などは、その代表的なところでしょう。

――自分に合っている学校を見極めることが重要なのですね。

結局、たとえ偏差値の高い学校に入学できたとしても、海外やインターナショナルスクールのプロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)で学んできた子どもたちには、詰め込み式の学びスタイルが合わないこともあります。

学年が進むに連れ、だんだん大学入試への競争が重荷になって、転校してしまう子もいます。

PBLに慣れている子には、多様な個性がそれぞれの才能を発揮できるグループワークにおいて力を発揮することもあります。ディスカッションをしたり、新しいことを生み出したりできる授業スタイルが良い子も、国際生の中には多いのです。

子どもが偏差値だけで学校を評価しないように親子できちんと話し合っておくこと、そして親も数字だけでなく我が子との相性や学びの中身を見て、学校選びをぜひ進めてみてください。


著者:岩辺みどり
一橋大学社会学研究科地球社会専攻修士課程修了。日経系列の出版社で雑誌編集記者とし て経験を積んだ後、退社し、独立。学生時代にオーストラリア、アメリカ、イギリスなど に留学し、20カ国以上を旅する。多様性のある社会をテーマに、ビジネスからライフスタ イル、教育まで幅広く取材、執筆する。二児の母。

岩辺みどり
岩辺みどり
一橋大学社会学研究科地球社会専攻修士課程修了。日経系列の出版社で雑誌編集記者とし て経験を積んだ後、退社し、独立。学生時代にオーストラリア、アメリカ、イギリスなど に留学し、20カ国以上を旅する。多様性のある社会をテーマに、ビジネスからライフスタ イル、教育まで幅広く取材、執筆する。二児の母。
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