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【特別インタビュー】連載vol.1
英語は非認知能力+認知能力で上達!

英語は非認知能力+認知能力で上達!
湧き出る「なぜ&知りたい」を子ども時代に

非認知能力の重要性を語り、多くの著書を持つボーク重子さん。アメリカ人の夫との間に生まれた娘、スカイさんは2017年に知力、コミュニケーション力、自己表現力、特技など総合的に競い合う「全米最優秀女子高生(The Distinguished Young Women of America)」において最優秀賞に選ばれました。
母であるボーク重子さんは、一度も「勉強しなさい」と言わず、何より非認知能力を育てたことが子育ての成功だったと話しますが、今やコロンビア大学を卒業したスカイさんの子育てを今振り返り、改めて大事なポイントを伺いました。(1回目/全4回)

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英語を話すには、レジリエンス力も必要

スカイはもう大学を卒業し、就職をして、NYのコンサルティング会社でバリバリ働き始めています。子育てってあっという間ですね。

私は非認知能力のお話などをしてきたので、そこがフューチャーされがちですが、認知能力と非認知能力は、両方必要です。

例えば、英語。英語は、日本で高校まで出ていれば文法や単語など、日常会話に困らないだけの認知能力はできています。だけど、「英語話せる人?」と聞くと、手が上がらないのです。それはどうしてだと思いますか?

英語を話すためには文法と単語だけでは足りないからです。
「話したい」という主体性や、「口に出してみたらなんとかなるんじゃないの」という楽観性とか、「こういう人たちと英語で話したらどうなるのかな」という好奇心とか、相手に「えっ?」って聞き返されても「第2外国語なんだから仕方ない」と割り切ってコミュニケーションをとる回復力(レジリエンス)。そういう非認知の部分が必要なのです。

非認知能力だけでも認知能力だけでも英語は話せない

かと言って、非認知能力だけあれば話せるかというと、単語と文法という認知力も不可欠。だから認知と非認知の両方が必要なのです。
ただ、これまでは認知の部分だけをひたすら学ばせ、早く大量に覚えて早く正確にアウトプットできればより高い点数が取れて合格できるのが日本のシステムでした。
そうすることでランキングの高い学校に入れて、有名な会社に就職して、安定した一生を送ることが「保証」されていました。

変化の少ない安定した社会ではそれも機能していましたが、これからは先がどうなるのか分からない、変化が早く激しい世の中になり、そんな変化の波に飲み込まれるのではなく、乗りこなす人材を育成する必要が出てきました。そのためには、もう認知能力だけでは足りないのではないかとみんな気がついています。だから非認知能力が大事だと言われるようになってきたのです。

非認知能力は、実は一つとして新しい能力ではありません。
しかし、これまで重要と言われてこなかった一方で、また今その重要性が声だかに叫ばれ始めたのには、そういう背景があるのです。

20年前のアメリカと今の日本

いろんな意味で日本は過渡期にあります。非認知能力だけでなく、女性活躍や多様性も叫ばれています。
そんな今の日本の状況と、私が娘を産んだ20数年前のアメリカの状況は非常に似ています。
私が移住した1998年は、教育にしても女性の生き方にしても、従来の考え方と新しい考え方が入り混じっていました。
アメリカでは非認知能力はSEL(Social Emotional Learning)という言葉が最も一般的に使われていますが、それがまだ定着していないけれども出てきたのもその頃なのです。

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探究学習も「なぜ」がなければ効果ダウン

よく誤解をされるのですが、非認知能力はノウハウでは育ちません。本人が行動をしなければ育たないのです。
「非認知能力とは何か」を知ったとしても、知識があるだけでは認知の部分が満たされただけで、それでは育成されたことにはなりません。非認知能力の育成には行動することが必須です。それも主体的であることが重要です。主体的行動とは「言われていないことをやりたいからやる」という行動です。そんな行動に出る時、私たちの非認知能力は最も効果的に育まれます。

それはなぜか?
自分がやりたいから物事にトライする時に私たちは失敗を失敗と思わないからです。
行動すれば必ず上手くいかないこと、思い通りにならないことが出てきます。そこで「じゃあどうすればいいのか」を考え、何があってもやり抜くのは自らやりたくてやっているからなのです。そんな環境でこそ柔軟性、自信、回復力、やり抜く力、想像力、創造性、自制心などの非認知能力が必要とされ育まれていきます。

では主体的行動に出るために必要なことは何でしょうか。
それは好奇心です。
「なんで?」「面白そう」「やってみようかな」と言う自分から湧き出る好奇心が主体的行動のスタートなのです。

そこで私が期待しているのが、探究学習です。探究って、「これなんだろう」と思う気持ちから始まるからです。ですからぜひとも生徒さん達の好奇心を大切にして、自由に課題を選べるようにして欲しいなと思っています。もし課題というか、お題を設定してやり方まで指示してしまえば、それはもう探究学習ではありません。
「やりなさい」ということをやって発表しました、という形では、せっかくの非認知能力を育む機会が失われてしまいます。

アメリカでは幼稚園から探究学習が行われています。
例えば、娘が4歳の時に幼稚園で「show and tell」の発表がありました。発表内容は何でもいい。しかし、1つだけルールがあって、それは「自分が何か疑問に思ったことを、調べたり試したりしてみて、それについて話す」ということでした。あとは何をやってもいいのです。
例えば、ペットを飼いたいと思って、ペットを飼うのは難しいのかをリサーチしてみるとか。人に聞いたり、ペットショップに行ってみたり、実際に学校の動物の飼育をしてみるとか、そういうことを論理的に説明していました。

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ボーグさんの新刊『しなさいと言わない子育て』(サンマーク出版)

反抗期は自己主張として大歓迎!

では、どうやって非認知能力育成の鍵を握る好奇心を育んでいけばいいのでしょうか。

全てのスタートは興味を持つことから始まります。
でも、私たち大人は、子どもの興味を抑え込んでしまいがちです。
子どもがちょろちょろしてれば「じっとしてなさい!」と言いますよね。何にでも興味があるからちょろちょろするけど、止めてしまう。イヤイヤ期、反抗期と言われる時期もありますが、イヤイヤ期にはなんとか静かにさせようとし、反抗期には自分の意見を言ってくれる子どもに「反抗して!」「親の言うことを聞きなさい!」と言う。
子どもの意思表示は親の都合にとって効率的はないからです。だって、いうことを聞いてくれる方が、質問などされない方が、サクサクっと物事は進みますから。

実は、イヤイヤ期も反抗期も学術用語ではなく、正確にはイヤイヤ期は「第一次自己主張期」、反抗期は「第二次自己主張期」というそうです。反抗ではなく、自分の意見を形成したり言ったりする大事な成長のプロセスなのです。

「スカイちゃんに反抗期はありましたか?」と言われるといつも困っていたのですが、それを聞いて私は腑に落ちました。なぜなら私は娘が私に反抗していると思ったことがなかったからです。
私と意見が合わないことはもちろんたくさんありました。ある時夫に「全然言うことを聞かない」と言ったら「そもそもそんな子育てしてないじゃない」と言われて、「あ、そうだね!」と思ったことがあります。
我が家はみんな自分の意見を自由に言える環境を整えてきました。だから意見が合わないこともたくさんありました。でもそれは、単に「意見が違う」だけのこと。親の言うことを聞かない、イコール反抗ではないんですよね。

100年時代の変化に飲み込まれない人に育てる

でもそれを反抗と捉えてしまうと、子どもを押さえつけてしまいます。
そうやって意見を言わない子どもを育てているのですよね。主張=ダメ、と育ててきて急に「探究学習です。何がいい?」と言われても、子どもたちは「いきなり好きなこと言えというの?」と戸惑うのではないでしょうか。

これからの子育てにおいて好奇心を育むことは重要です。
グローバル化、多様化、AI化が加速する人生100年時代では、自分の周りで起こっていることに興味を持ち、変化と共に進んでいかなくてはいけない。
そうでなければ変化に飲み込まれる子になってしまう。そうならないためにも常に興味を持って、自分から何かをしたいと思える子を育てるのが大事なのです。

そのためにもイヤイヤ期・反抗期ではなく、第1次自己主張期、第2時自己主張期です。

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私は子育てで「子どもに何かをやらせよう」というのはそんなに考えてきませんでした。ただ、2回だけ私も子どもに「やらせよう」として大失敗をしたことがあります。次回はそのお話をしましょう。(vol.2へ)

著者:岩辺みどり【ほかの記事を読む:過去記事

岩辺みどり
岩辺みどり
一橋大学社会学研究科地球社会専攻修士課程修了。日経系列の出版社で雑誌編集記者とし て経験を積んだ後、退社し、独立。学生時代にオーストラリア、アメリカ、イギリスなど に留学し、20カ国以上を旅する。多様性のある社会をテーマに、ビジネスからライフスタ イル、教育まで幅広く取材、執筆する。二児の母。
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