【独占インタビュー】Route H 尾澤塾長に海外トップ大学合格の秘訣について聞く
みなさんはRoute Hという海外名門大学に特化した受験塾についてご存知でしょうか?
あまり宣伝活動をしていないのに、教育意識の高い家庭なら誰もがその名前を知っています。
鉄緑会に並ぶベネッセグループのフラッグシップであり、国内名門校から最優秀層の生徒がどんどん集まり、12年連続ハーバード大学やイエール大学に合格者を輩出し続ける、そんな秘密結社のような塾が都内にあります。
編集部では、話題のRoute Hを率いる尾澤塾長に、海外トップ大学に合格する秘訣について伺いました。
「世界中から進路を選ぶ」をスタンダードに。
少子高齢化が加速し、国内市場がどんどん縮小し、右肩下がりの国、日本。大学卒の給与水準も低く、若者が日本の大学を出た後に輝かしい未来を想像できなくなった昨今、高校生たちはグローバルで通用するキャリアを目指し、日本国内の大学に加え、海外の大学を当たり前に目指す時代になりました。
近年では、日本の伝統的な中高一貫校に加え、有名都立、そして地方公立校に通う優秀層まで「世界中から進路を選びたい」という姿勢が広がっています。
しかし一方で、海外大合格へのノウハウが一般化されるにはまだ至っていないようですが、毎年多くの海外トップ大学、国内グローバル系大学への合格者を輩出している「Route H」グループには蓄積されています。
その確かさは、ハーバード、イエールに12年連続合格者を輩出という日本で唯一の実績が証明しています。
- Route Hグループの合格実績(2010-2021抜粋)
Harvard:28名(12年連続)、Yale:33名(12年連続)、Princeton:23名(9年連続)、Stanford:11名(2年連続)、MIT:7名、Oxford:6名、Cambridge:1名

尾澤 章浩氏
株式会社ベネッセコーポレーション
海外トップ大進学塾Route H責任者
米国の新聞社で記者として勤務後、1995 年ベネッセ入社。
進研模試英語編集長等を経て、2009 年より現職。ハーバード大28名、イェール大34名を始め、生徒の9割(140 名)以上を海外トップ大学に送り込んできた。
米国大エッセイ講師、海外トップ大進学イベントのプロデュース、ハーバード大学の各団体等との交流も推進している。
Route Hにはどんな生徒が多いの?
生徒の居住地域は、約8割が首都圏です。
東大や医学部を志望している生徒が多く、開成、筑駒、渋渋、渋幕、聖光、広尾、学芸大の附属など、また関西では灘、甲陽など、一部の名門国立校を除けば、いわゆる名門の私立中高一貫校に通学している生徒が多いです。
生徒はインターナショナルスクールや帰国子女の生徒が、割合的には半分強で、他はこれまで海外在住経験がほとんどない生徒です。

最近では、関西、九州や他の地域、保護者の駐在の関係で海外に居住している生徒や、外国籍の生徒もオンラインで授業に参加しています。
これまで海外大進学は情報が集まる首都圏が有利と思われていましたが、地方に住んでいても、成績や課外活動歴や受賞歴を積み上げていき、高校1年生からTOEFLなどのスコアメイクの準備をしていけば十分間に合うと考えています。
実際に、最近ではこれまで海外大学進学者が一人もいなかった地方の高校生がいきなり海外大学の合格を掴み取ることも増えており、生徒自らが能動的に動き、情報を掴んでRoute Hの門を叩くことも増えています。
ただし、海外大進学の実績が少ない地方の公立高校だと、海外大学のAdmissionに提出する学校紹介の書き方が分からないという学校もあるので、Route Hは学校からもお問合せをいただければ、可能な範囲でアドバイスを提供しています。
なぜ今、日本の中高生は海外トップ大学を目指すのか?
世界中から集まる多様な学友と共に、ディスカッションなどアウトプットが求められる授業を多く経験することによって身に付く知識やスキル、そして寮生活を通じて培われる人間力や世界に広がる仲間のネットワークに魅力を感じる中高生が多いみたいです。
また、文理にまたがり副専攻や二重専攻をすることも可能なため、自分の興味のある分野を追求できることも魅力となっています。
Route Hとして考える海外トップ大学の魅力は以下です。
海外トップ大学の魅力
- ダイバーシティ(多様性)が生む活力
文化や世代の違いを超えて世界中から集まる学生の多様性が、大学に活力をもたらしています。入学審査で活動実績が重視されるのもそのためだと考えます。多才な友人たちと切磋琢磨し、世界中にネットワークが広がることで、さらに「大学力」が高まることになっています。
- 多様でフレキシブルな教育力
アメリカの大学では、1、2年次の教養課程で幅広く学んでから専攻を決めるため、カリキュラムは柔軟性に富んでいます。ちなみにアメリカ以外の国の多くは、専攻を決め入学し、1年次から研究できる大学が多いです。
海外の大学では、二重専攻(ダブルメジャー)で同時に2つの分野を学んだり、専攻の変更も数回できたり、海外留学や他大学での聴講、単位互換なども盛んです。
- 学費援助を支える資金力
海外の大学の多くでは、優秀な学生を多く集めるため学費援助「Financial Aid」や、奨学金「Scholarship」を学生に用意してくれています。課外活動やイベントの一部を資金補助してくれる大学や生活費、渡航費までカバーしてくれる大学など多岐にわたっています。
- 豊富な選択肢とリソース
学業面のプログラムの豊富さに加え、課外活動や研究などの選択肢が豊富で、かつレベルが高いものも多いです。レベルの高い教授陣や最先端な研究施設などトップ大学の豊富なリソースを有効活用できます。大学院が併設されている大学では、大学院の授業の受講も可能です。選択肢が多いため、個々のニーズに合わせた最適な学業や活動の選択が可能です。
- 寮生活で培われる人間力
多くの新入生が寮生活では、他国の学生との交流の中でそれぞれの価値観を知り、多様性や異文化理解、連帯感を深めることができます。また高度なコミュニケーション能力を身につけることもできるのが魅力です。さまざまな国の学生と交流を深めることによって、各国の事情や、その国の人々の考え方なども得ることができます。
- ディスカッションで切磋琢磨
規模の大きい大学では、教授の「講義」以外に、助手(Teaching Assistant)が担当する少人数授業(セクションやセミナーなどと呼ばれる)があり、講義の受講を前提に、ディスカッションや、共同で取り組む宿題などで仲間と切磋琢磨しながら科目への理解を深める仕組みが徹底しています。
海外の大学は、多面的総合評価
ここまで海外の大学の魅力について話してきましたが、海外トップ大学の多面的総合的評価への準備は計画的に進める必要があります。在学中の学校で良い成績を維持することは当然のことながら、それに加えて課外活動やTOEFL / SATの勉強、またエッセイ執筆や推薦状の依頼、財政証明書の準備など、計画を立てて進める必要があります。
特にTOEFL / SATのスコアは出願資格となる上に、これまでの生徒の様子を見ていると、個人差はありますが、スコア取得まで相当の時間がかかります。また、高3の夏休み以降は、国内の受験対策も本格化するので、対策を早めに始めて欲しいと思っています。

入学審査の重要ポイント
全世界から優秀な学生を一堂に集め、その多様な力で学内を活性化することが名門大学の基本スタンスです。そのため学力だけで合否を決めることはありません。
実際に、トップクラスの大学では、SATが満点でも不合格となるケースもあります。
出願時のエッセイや面接をもとに学業に加えて課外活動でも実績をあげ、強烈な熱意と高いモチベーション、リーダーシップや想像力に秀でたタフな人物を大学側は見極めています。
それをいかにして入学審査官に訴えるか、まずは自分の強みと課題を整理してみましょう。
Balance:「学力+人間力」の総合評価
学業成績、SATやTOEFLなどのテストスコア、願書(特に課外活動や受賞歴など)、エッセイ、面接でのコメントなどが総合的に判断され、入学するに相応しい人物が特定されます。
- Passion:入学へのあくなき「熱意」
この大学に入りたい!という強い熱意を示すことが重要です。事前に、オンラインの大学説明会を視聴したり、大学を訪問したり、専攻希望分野の講義要項に目を通したりして、明確な動機と必然性を持ってエッセイや面接で志望理由を語れるようになりましょう。
自分にあった大学かどうか見極めるためにも、オンラインの大学説明会などは必ず視聴してほしいと思っています。
- Creativity:際立つ「個性」「独創力」
単なるオールラウンダーでは決め手に欠けます。何らかの全国大会や世界大会での実績など、特別に目を引く強みが欲しいと思っています。
入学審査官は数百〜数千通もの願書、さらにはその中のエッセイに目を通します。エッセイにも個性、独創力が求められます。凡庸な人物では選ばれる理由が無いのです。
- Contribution:期待感を高める「貢献度」
自分の目標に向かって走るだけでは不十分です。その大学にフィットした、大学にとって貢献度の高い人物になり得るかどうかも大事なポイントです。
「高校時代、コミュニティーにどんな貢献をしたか」「大学入学後、どんな貢献ができるか」といった質問が、願書やエッセイの課題に織り込まれているのもそのためです。
- Leadership:社会を変えていく「原動力」
社会をよい方向に動かす(または変える)人物が好まれます。
学業や課外活動での優れた実績に加え、それが周囲にどれだけ認められ、問題解決に役立ったか、その影響力の強さが評価されます。リーダーの地位だけでなく、何をするかが大事です。
番外編:トップ大学が求める人物像
例えば、ハーバード大学のサイトには、「リーダーシップ」「コミュニティー貢献」などに加え、「学生同士で互いに、または教授をも教育する人ー周りの人をインスパイアする人」、スタンフォード大学のサイトには、「学業優秀」「知的バイタリティ」「好奇心と熱意」などの言葉が散見されます。
大学ごとに求める人物像には共通点や違いもあるので、Route Hの講師陣は、学生の志望校も踏まえて、エッセイや面接の対策を変えていきます。
出願に必要な書類
海外大学の魅力や、大学が求める人物像について話してきましたが、それでは具体的に出願に際して必要な書類について見ていきましょう。
必要な書類は、国や大学ごとに異なることもありますが、主に願書、成績証明書、エッセイ、推薦状、テストスコアがあります。
これらの中には、自分自身で用意する書類、推薦状など学校の先生に用意してもらう書類、TOEFLやSATの実施機関から提出してもらう書類などがあります。
また、保護者が用意する源泉徴収票や確定申告書に加え、財政能力証明書が必要になる場合もあります。
願書 | オンライン出願が主流。米国大学の場合、共通願書と大学別の願書を提出する大学が多い。共通願書には、個人情報を始め、高校時代の学業成績、課外活動・受賞歴、TOEFL・SAT等のテストスコア、パーソナルエッセイの記入の指示などがある。大学別の願書も各種の質問と、エッセイ記入欄がある。 |
成績証明書 | 高校に依頼して英文の成績証明書を発行してもらう。進路指導教員や担任教員にお願いしよう。学校からの直送を求める大学が多い。途中で転校した場合は、前に在籍した学校の書類も必要。 |
エッセイ | 米国大学の場合、Common Application等の共通願書に加盟している大学の場合、共通願書用のパーソナルエッセイと、大学別のSupplement essayが課される場合が多い。パーソナルエッセイでは自分の長所等をエピソード等を通じ表現し、また、Supplement essayでは、志望動機や他のエッセイを通じて自分をアピールする。エッセイでは大学ごとに語数制限などがあり、要件に合わせたエッセイを書く必要がある。その大学について十分にリサーチしたうえで、志望動機も明確にして作成したい。 |
推薦状 | 出願者の長所や資質、人間的魅力について客観的に伝える。高校の担任や進路指導の教員、主要教科の教員などに依頼できるよう日頃からのコミュニケーションを大切にしたい。国内大向けの推薦状以上の具体性が求められるので、自分をよく把握している先生に作成してもらうのがポイント。大学により2通、3通等指定があるので注意したい。さらに、特筆すべき点があれば、高校以外のしかるべき人物に外部推薦状を作成してもらってもよい。 |
テストスコア | 大学ごとに指定のテストを受験する。そのスコアを実施団体から志望校に送ってもらう。 |