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インターナショナルスクールのリアル#4 聖心インターナショナルスクール

ベールに包まれたインターナショナルスクールのリアルな姿に迫り、魅力をお伝えするこの企画。今回は、渋谷区広尾にある聖心インターナショナルスクールの卒業生にお話を伺いました。

聖心インターは、インターナショナルスクールの中でも珍しい女子校で、40か国以上の国々から学生が集うカトリック系の伝統校。100年以上の歴史を持つ名高い同校は一貫して「良い社会を築くことに貢献する賢明な女性の育成」を教育理念に掲げ、国際社会に貢献できる女性を輩出。そんな聖心インターの実際の教育風景、人格形成に与えた影響、卒業後の活躍など、スクール内部から見えた魅力や特性に迫ります。

公式サイトより

-名前と出身校について教えてください。

Kanonです。聖心インターナショナルスクールを2021年5月に卒業しました。聖心インターに通う前は、K2(年少)からG1(小1)までアオバジャパンインターナショナルスクールに。英語力と視野を広げるためにアオバに通っていた兄と同じアオバに入ったのですが、よりアクセスの良さを求めて、G2(小2)の時に聖心に転校しました。

-出身校について簡単に説明していただけますか。

設立母体である『聖心会』は1800年にフランスの聖人により設立された団体です。教育を提供し、変化の激しい世界で成功する女性を育成することを目標に、多くの学校を開校しており、現在、日本には7校、全世界30カ国以上・147校もの聖心系列の学校が存在します。聖心インターはその伝統と歴史を大切にし、世界中の女性に「精神的、知的、道徳的、および社会的」資質の発展を促す質の高い教育を提供しています。都会の真ん中にある学校ですが、聖心女子大学と敷地を共有し、セキュリティが充実しています。2026年からは数年かけて、中学と高校の校舎の建て替えを行うそうです。

-最初の印象は覚えていますか?

ものすごく緊張していたのを覚えています。家族との日常会話を日本語で行っていた自分にとっていきなり英語しか喋れない環境にいれられたことは、当時はプレッシャーでしたね(笑)。特に、聖心インターに関しては同級生の英語のレベルが高いという印象が強かったです。

-一番印象に残った授業や活動は何ですか?

一番印象に残っている活動は、合唱部(vocal ensemble)に参加していた経験です。特に、G10(高1)の時に、2019年オランダで開催された国際大会へ出場したことは思い出深いです。その大会は、ボーカルディレクター(顧問)が変わってから、初めて海外の大規模な大会で、前例がない挑戦でした。しかし、チーム一丸となって取り組んだ結果、私たちは部門内での優勝を果たすことができました。さらに、ボーカルディレクターが最優秀ボーカルディレクター賞を受賞し、学校全体としても快挙となりました。この国際大会での優勝経験は、学校生活の中でも特に、私の心に刻まれています。

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-学校生活を通じて得た最も価値のある経験は何ですか?

自主性や責任感を若いうちから培うことができたことです。

聖心インターでは、生徒に社会問題への意識を高め、積極的に取り組むための様々な機会が提供されています。例えば、普段は制服なのですが、募金をするとその日だけ私服で登校できる「Free Dress Day(フリードレスデー)」や手作りのお菓子を販売する「Bake Sale(ベークセール)」が挙げられます。これらで回収したお金は、学校が定めている決まった慈善団体に寄付されます。

また、学校主導のチャリティーだけでなく、生徒たちが自ら活動の方針を定め、寄付先を選択することもあります。問題提起から行動までのプロセスを自ら考え実行することができたと同時に、社会に対する意識、自主性や責任感も養うことができました。

-先生方についてはどのように感じますか?特に印象に残った先生はいますか?

聖心インターに在籍している先生は、フレンドリーで親しみやすい方が多いので、先生と良い関係性が築きやすい環境だと思います。主要科目の先生が兼任して部活動の顧問を務めることも多かったので、授業の枠を越えて先生方と、密に関わることができました。

中でも、陶芸(セラミックス)の授業を担当しつつ、軽音部の顧問も務めていた先生が自分の中では印象に残っています。当時は聖心インターでの勤務歴が教員の中でも一番長く、リタイアするその日まで、多くの生徒に寄り添い、クリエイティビティを大切にした教育を実施していました。私自身も彼の授業から多くを学んだ経験があり、心から尊敬する先生のうちの一人です。

-学びの環境としてはどうでしょうか?

私は日本の一般的な公立や私立の学校で教育を受けた経験はないのですが、そうした学校に通っていた友人の話と自分の経験を比較すると、インターでは自己主張をする機会が多く用意されているように感じます。

聖心インターの教室は、一般的な教室とは異なり、4つの机が1グループとしてまとめられ教室中に散りばめられています。このような配置は、グループワークやディスカッションを頻繁に行うためのもので、そのおかげで自分の意見をしっかりと主張する機会が増えました。これにより、学問的な知識に限らず、チームでの協調性やコミュニケーションスキルを培うことができました。勉学ももちろんですが、これらのスキルも同等に大切だと感じるので、このような学びの環境は非常に有意義だったと感じています。

Kanonさん提供

-学校行事について教えてください。

数多く行われる学校行事の中でも私が一番好きだったのは、『One World Day』というイベントでした。年に一度開催されるもので、生徒や教員を含めた全員が、母国の伝統衣装を着て学校に行く日です。私が在籍していた当時は約45カ国から生徒や教員が集い、その国々の文化に触れながら「世界が1つになる」感覚が味わえ、とても貴重な体験でした。

-学校でのコミュニティやカリキュラムがキャリアや人生観にどのような影響を与えましたか?

聖心インターの教育方針は、生徒に自立心を持たせることに特に重きを置いてると感じます。「自立した女性」になれるような教育のおかげで、性別の壁を超えて世界的に様々な分野で飛躍する卒業生やそれを目指す学生は多かったです。私自身も、家事や育児をこなしながら、バリバリ働くことができる力強い女性としての生き方を幼い頃から志向するようになりました。

また、他のインターでもそうなのですが、高い教育機関への進学を目指す気概が養われるのはインターの教育の特長だと感じます。聖心インターにおいても、中学生の頃からの進学意識が非常に高く、生徒たちは良い成績を取ることに執着するなど、結果を追求する姿勢が根付いていると思います。

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-この学校のどのような特徴があなたを成長させたと感じますか?

聖心インターでは、生徒の自己独立の力を重視し、強く自立した女性を育むことに注力していました。学校側から、自ら考え行動する力を身につけることを常に奨励していただけでなく、周りの友人たちにも似たような考えを持っていた生徒が多かったため、一緒に励まし合い、共に成長する環境が築かれていました。このような環境は、私の自己独立心や自己肯定感を大きく育て、私のアイデンティティの土台となっています。そして、これまでも、これからも、聖心で得たこの経験や価値は、成長や成功の鍵となっていくと信じています。

-母校に改善してほしい点はありますか?

聖心インターの伝統を大事にしてほしいと思います。

最近は、校則が緩和され、よりインクルーシブな環境が推進されていると耳にしました。髪色、メイクやネイルに関する校則を緩和することは、女性の個性を引き出すという点で多くの卒業生や在学生の間で肯定的に受け入れられています。一方で、制服面でも一部が変更され、以前は指定されていた黒のローファーが、黒色の靴であればなんでも良いというルールになりました。実際、後輩たちがカジュアルなブランドの靴やハイカットのブーツなどを履いて登校している姿を見かけることもしばしばあります。

生徒の個性を尊重する点では、インクルーシブやダイバーシティの推進するための変更は歓迎すべきことと思いますが、学校としての統一感や伝統を保ちつつ、それをどのように実現するかが今後の課題だと感じています。

-入学を検討している学生に向けて何かアドバイスはありますか?

聖心インターは、非常にアットホームな暖かい雰囲気があります。ですので、学校を変えることによる環境の変化などについて心配する必要は全くないと思います。私も小学生低学年の時に転校しましたが、当時も今でも聖心インターに通うことができて良かったと思っています。自分にとってよかったことは、積極的に多くの課外活動に参加し、友人を増やすだけでなく、教員との良好な関係も築くことができたことです。特に、他のインターナショナルスクールとの交流ができる部活を選択することは、異文化理解や人間関係の深化に繋がるので是非参加してみてください。

また、入学後や在校生向けのアドバイスになりますが、大学進学を目指なら、G9(中3)の数学の成績は重要なので意識してほしいと思います。G10(高1)時には特進クラスと一般クラスに分けられ、それによってG11(高2)時にAP Calculus AB(大学受験に有利に働く専門クラス)を受講できるかが決定されるからです。

大学進学に関しては、主にアメリカ、イギリス、そして日本の大学に進学する生徒が多いと感じます。聖心ではAPカリキュラムを導入していますが、問題なくイギリスの大学も受験できるので、高校のカリキュラムにより受験できる国が定められてしまうということはありません。また、勉学に限らず、中にはアートを専攻する生徒もいます。G11-12(高2-3)では割とフレキシブルに取りたい教科を選択できるので、G10(高1)の終わりには、自分の好む分野をなんとなく決められると良いと思います。

最後になりますが、「自立した強い女性」を目指す方にとって聖心インターは最適な場所だと思います。是非、私たちのコミュニティーの一員になってほしいです。

▽連載【卒業生に聞く!インターナショナルスクールのリアル】
#1セントメリーズインターナショナルスクール
#2 インター生の大学受験事情(前編)
#3 インター生の大学受験事情(後編)

原稿:eduJUMP!編集部
構成・校正:原知子

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