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インターナショナルスクールのリアル#3 インター生の大学受験事情(後編)

ベールに包まれたインターナショナルスクールのリアルな姿に迫り、魅力をお伝えしている本連載。#2では国内のインターナショナルスクールに通う生徒の大学受験事情をピックアップしました。その後編となる今回は、大学受験で必要となる書類やスコアについて説明していきます。 


<INDEX>
1.一般入試とは違う!?海外大学及び英語主体の国内大学受験方法
2.大学受験に、一番重要なのは?
3.手厚いサポートを存分に利用しよう


一般的な入試とは違う!?
海外大、英語で授業が行われる国内大の受験方法

海外大学や英語で授業が行われる国内大学への進学における入試は、志願者を総合的に評価するものとなっており、いわゆる総合型選抜(旧AO入試)と言われています。国内大学の一般選抜の入試方式とは異なり、一度の受験機会しかない大学入学共通テスト(旧センター試験)の点数を主体に評価されることはありません。海外で実施されている全国共通テストも評価対象に入るものの、テストの点数だけではわからない、志願者の能力を高校の成績や志望理由書等の小論文から評価し、合否を決定します。それぞれを詳しくみていきましょう。

Grade Point Average (GPA)

GPAとは、日本ではあまり馴染みのないですが、成績の総合平均点を表すものです。インターナショナルスクールでは、毎年算出されるものです。多くの海外大学ないし英語で授業が行われる国内大学では高校全体のGPAの提出を求められます。成績が優れている学生は、入学審査での選考や奨学金の授与などにおいて優遇される可能性もあります。

もちろんこの数値は高いほど評価されます。なので、一般的には9年生(中学3年生相当)から評価の影響を受けるため、上位大学を目指しているのであれば早期から力を入れる必要があります。一方で、たとえ、中学3年生や高校1年生次の成績があまり高くなかったとしても心配する必要はありません。高校3年間を通じて成績が伸びていることを示すことができれば選考において有利に働くこともあります。諦めずに残りの年でGPAを上げましょう!

GPAといっても高校によって授業の難易度が異なるため、大学のアドミッションズ・オフィス(入学許可事務局)の理解している範囲で授業の難易度を加味して評価すると言われています。しかし、内容が公開されていることもなく、実際のところは分かりません。

テストスコア

大学受験のための統一試験(例:SATやACT)や国際的に認められた大学入学資格試験(例:IBやAP)の結果を提出しなくてはなりません。必要な試験の種類や他の試験結果で代用できるかなどは大学によって異なります。

アメリカでは、SATという統一試験の点数を”任意提出”としている大学が大半を占めています。任意提出とは点数を提出しなくても不利に働くことはないが、提出された場合は評価に加味するといったもので、多くの大学がこのように表明しています。しかし、ほとんどの学生がSATの点数を提出しているので、比較の指標になっていることも事実。提出は、必須に近いと考えたほうがいいでしょう。

また、英語が母国語ではない学生の場合、上記のテストに加えて、英語能力を照明するための資格試験(例:TOEFLやIELTS)を受験する必要があります。ただし、このテストは大学の授業でついていけるかを評価するもので、ボーダーはあまり高く設定されていません。インターナショナルスクールに通っていれば、特に心配は不要だと考えられます。

小論文

大学出願時には「Common Application Essay(コモンアプリケーション エッセイ)」と「Supplemental Essay(サプリメンタル エッセイ)」の2種類の小論文が必要になります。

 Common Application Essay はアメリカの大学を受験する際に必須とされており、特定の教育機関が定めた複数のテーマの中から一つを選び、小論文を書きます。イギリスの大学に出願する際にも Common Application Essay に似た全大学共通に提出する小論文があります。なので、国別でどのような小論文が必要になるか調べることが大切です。

Supplemental Essayとは、大学ごとに設定されているテーマに沿って、決められた文字数で小論文を書きます。こちらに関しては国などは関係なく、ほとんどの大学で実施されています。また、具体的には、志望動機や入学後の目標など、大学の求める学生像を中心としたテーマが比較的多く出題される傾向にあります。

どのようなテーマが出題されても、独特な経験やエピソードを通して、自分の個性や考え方をアピールしましょう。

推薦状(Recommendation Letter)

「推薦状」と聞くと学業やスポーツで優れた実績を残したごくわずかの人しか授与できない特別なものというイメージがありますが、海外大学に提出する「推薦状」は、出身校の先生に書いてもらう人物評価書のような手紙を指します。学校の成績やテストの点数から分かる学力以外の面から志願者の性格や人柄を評価するのに用いられます。

基本的に、この手紙には志願者の人柄や性格はもちろん、それ以外にも他の学生と比較してどこが秀でているかを客観的に述べている文章が書かれています。つまり、より濃いエピソードや自分の良さを一番上手く表現してくれる教員に書いてもらうのが理想的です。

また、必要な枚数は大学やプログラムによって異なりますが、1〜3通が一般的とされています。複数の推薦状を要求された場合、大学は志願者を多様な面から評価したいということを意味しています。推薦状の内容が似たようなものにならないように、異なる科目の先生や課外活動の顧問に依頼するのがいいでしょう。

課外活動の記録

入試のプロセスにおいて、「課外活動」は成績と同等の重要性で評価されます。特に海外大学ではその比重が重く、活動の内容や自分の役割だけでなく、その活動がどのように自身の成長や周りに貢献したかなども詳しく説明することが求められます。

その背景には、同じような学力を持つ志願者を区別する必要があるという事情があります。特に名門大学になると、成績優秀者が溢れるほど受験してきます。そのため、推薦状、学問的な優秀さだけでなく、総合的に優れている人材を見つける指標として重視されるのです。ただし、大会での優勝経験や大規模なボランティア経験がない場合でも心配する必要はありません。大学は、課外活動の成果だけでなく、その過程や経緯も評価します。なので、自らの活動を過小評価せず、その活動が自分や他者にとって価値のあるものであったと自信を持ってアピールしましょう!

これらの項目は応募書類の一部として提出され、選考の際に総合的な判断材料となります。しかし、何が必要になるかは、大学や学科ごとによって異なります。また、出願方法、提出期限、選考プロセスなども異なるため、詳細な情報は各大学の公式ウェブサイトや入学案内を確認することが必要です。大学の指示に従い、必要な書類や申請手続きを適切に準備しましょう。

大学受験に一番重要なのはどの項目?

大学受験に必要な項目を紹介しましたが、実際にどの項目が、最も重視されているかは分かりません。学生時代にどこに注力すべきか知るためにも、これらの情報を知っておくことは大変重要です。そのため、実際のインターナショナルスクール卒業生の実績を参考に、どの項目が入試プロセスにおいて重要になっているか確認していきましょう。

Eさん 早稲田大学進学(ボストン大学等合格)
* GPA:3.45/4.00
* SAT:1360
* IB (学内プログラム):40/45
* 小論文(費やした時間):1ヵ月以上

Yさん ノースイースタン大学進学(フォードハム大学、ICU等合格)
* GPA:3.20/4.00
* SAT:1350
* IB (学内プログラム):36/45
* 小論文(費やした時間):2ヵ月程度

Rさん 上智大学進学(ニューヨーク大学等合格)
* GPA:3.78/4.00
* SAT:1460
* AP (学内プログラム):World History 5/5, Microeconomics 5/5, AP Macroeconomics 5/5等
* 小論文(費やした時間):5ヵ月以上

 

これらの実績から見受けられるように、いずれかの項目が比較的低くても他の項目で充分な点数が取れていれば合格することはできます。なので、受験者の視点から明確にどの項目が重視されているかは言い切ることができません。しかし、大学によってはテストスコアに関する最低ラインが設けられているところもありますので、事前に確認しておくことが重要になります。受験したい大学などがある場合は、事前に合格者の平均GPAや平均テストスコアを確認して、準備した上で試験などに臨むようにしましょう。

学校内の手厚いサポートを存分に利用しよう

先ほど説明したように出願方法や選考プロセスは各大学によって異なります。そのため、自分で全てを管理して受験をすることに不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、インターナショナルスクールでは大学受験に関する手厚いサポートが受けられる学校が多いので、存分に利用して選考を有利に進めましょう。

カレッジカウンセラー

ほとんどのインターナショナルスクールには、カレッジカウンセラーという進路相談を専門的に担当する部署が存在します。カレッジカウンセラーの方々は、頻繁に大学の担当者と連絡を取り合い、深い関係性を築いているため、進路選択の際には非常に助けになります。また、大学受験に関する知見も豊富であるため、必要に応じて相談してみましょう。大学選びに迷っている段階でも生徒一人一人に合った大学を推奨してくれることもあります。実際に卒業生に話を伺うと「選考プロセスにおいて重要な小論文の校正を1ヵ月間つきっきりで行ってくれた」や「自分にとって最適な規模や地域にある大学を推奨してくれた」という声が多く聞かれます。

教員

カレッジカウンセラーに加え、教員も大学入試において大きな力になります。エッセイの校正や大学選択のプロセスに直接関与しませんが、GPAを向上させるための支援や大学に提出する推薦状も書いてくれます。また、IBやAP等の学校のカリキュラムの最終試験に向けたサポートもしてくれます。これらは全て大学受験において重要な要素となるため、できるだけ親密な関係を築くようにしましょう。

卒業生からの一言
先生とは間違いなく信頼関係を築いた方がいいです。もちろん、苦手な先生もいるとは思いますが、敵を作る必要はありません。私自身、高校時代に自分を評価してくれた先生が2人しかいなかったのですが、大学によっては3人の先生からの推薦状が求められるケースがあります。在学中は、なるべく多くの先生と良好な関係性を築くことを努力して損はないと思います。

 

インターナショナルスクールに関する情報はまだ少ないため、不安に感じることもあるかもしれません。今回はその中でも大学受験事情についてお話しました。今回の内容以外にも、あまり知られていない情報は多く、インターの卒業生に直接話を聞く機会があれば、積極的に聞くことをお勧めします。また、インター生の大学受験に詳しい塾や家庭教師サービスなどを利用したりすると、より広範囲で、多くの情報が入りやすいでしょう。

▽連載【卒業生に聞く!インターナショナルスクールのリアル】
#1 セントメリーズインターナショナルスクール
#2 インター生の大学受験事情(前編)

原稿:eduJUMP!編集部
写真:Pexel(すべてイメージ)
構成・校正:原知子

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