2023年4月に開校2年目を迎えると同時に、渋谷区桜丘町に開発された「Shibuya Sakura Stage」にキンダーガーテンをオープンするキャピタル東京インターナショナルスクール(以下、CTIS)。順調な事業拡大を続けるCTISの佐藤崇弘理事長にこの1年の振り返りと今後の抱負を伺いました。
キャピタル東京インターナショナルスクール
創立者・理事長 佐藤 崇弘(さとう たかひろ)氏
大学在学中に障害者施設や高齢者グループホームを事業化。新卒で長野県庁の課長級職員に抜擢され、24歳で県庁部長級職員を経験し退庁。就職困難者の就労支援を行う株式会社LITALICO(東証一部上場)を起業、代表取締役に就任。仙台市長選への出馬を機に代表を退任。現在は、シリアルアントレプレナーとして株式会社SEKAISHA・医療法人社団寿澄・株式会社CTIS等を創業。またエンジェル投資家として約40社のスタートアップ企業を支援しており、映画などのエンターテーメントビジネスや、創薬研究所の設立などにも参画中。財団法人寿澄を設立し、未来を担う子供たちの学習支援も行っている。
わずか10ヶ月でインター開校!
きっかけは我が子の授業参観
-インターナショナルスクールを開校するきっかけは?
私は、物事をゼロからやるときのごちゃごちゃした感じがとても好きで、常にそこに身を置きたいと考えています。
実は、CTISの立ち上げは、開校の10ヶ月前に事業責任者を採用し、そこから良い教師を探しながら、キャンパスの選定をして、生徒あたりの教師の数を決め、目指すべき方向を決め、怒涛のスピードで一気にやりました。24歳の頃に私が株式会社LITALICOを創業したときに比べると、今回は立ち上げの準備期間が1年無かったにも関わらず、当初の想定以上に良くできたという実感があります。
どうしてこんなに突貫でインターを立ち上げようと思ったのか‐。それは当時、小学1年生だった長男が通う港区の公立小学校へ授業参観に行ったことがきっかけでした。
私自身は、福島市の公立小学校に通っていたので、港区の一等地にある公立小学校で提供されている最近の教育は、きっと自分の頃とは全然違うんだろうと考えていました。ところが、文部科学省の指導要領は私が子供だった頃から大きくは変わっておらず、35年ぶりに見た日本の学校教育現場は、”時が止まったまま”だったことに衝撃を受けました。
学生の立場では気づかなかったことですが、先生1人で40名の生徒をマネジメントするのは到底無理です。大企業でも一人のマネージャーが40名のチームを束ねることなんてほぼ無いですし、小学校の低学年なんて、まだ自律していない生徒も混じっているわけですから。当然、教員との個別面談でも一人ひとりに目が行き届いていないことが感じ取れました。
もっと先生一人あたりの生徒数を減らして、質の高い教育を提供する学校は作れないものか、何か手段は無いのかと考えるうちに、「学校を立ち上げたい」という気持ちになりました。
ただ、学校を立ち上げるといっても、学校教育法の一条校を新設するのは基本的に難しいことが分かりました。授業数やカリキュラムも決まってしまうので、自由度もありません。そんな中、たまたま妻からインターナショナルスクールの存在を聞きました。これまでインターなんて自分とは関係の無い世界、遠い存在だと思っていましたが、気になって見学に行ってみると、フリースクールのような形で自由に学校運営している様子に驚き、感動しました。
そこで、私はインターナショナルスクールを立ち上げようと考えました。もちろん、事業として利益がでないと永続性がなく、優秀な人材も集まらないので、日本にあるインターの中で講師の年収を日本一にし、提供する教育の中身に徹底的に投資したいと考えました。
先生一人あたりの生徒数は日本最少!
教育の質を徹底的に追求
-先生一人当たりの生徒数がとても少ないのはなぜですか?
私は、このインターナショナルスクール事業で上場したいとか役員報酬を受け取るつもりはありません。幸運なことに前職で財を成すことができたので、 インター事業は社会に貢献していきたいという気持ちで、当分の間は利益が出ないことを覚悟しながら私財を投げうってやっています。
CTISには先生一人あたりの生徒数がどの学校よりも少ないという圧倒的なポジショニングがあります。 日本一最少人数のクラスを目指しており、12人のクラスに担任1名と学年2クラス24人に対して1人のティーチング・アシスタントが入ります。
認定に向けてIB(国際バカロレア)方式のカリキュラムを採用していますから、個々の興味関心に応じて異なる指導をしたいと考えています。しかし、いくら優秀な先生を雇っても、業務に追われてしまうと先生のやりたいことができなくなってしまいますから、先生一人当たりの生徒数は、極力少なくしたいのです。今後もこの人数バランスを保っていきたいと考えています。
渋谷にキンダー開校
都心に高校部までの一貫校を
-この4月にキンダーが開校しますが、渋谷を選んだ理由は?
キンダーは渋谷区桜丘町に開発された「Shibuya Sakura Stage」に入ることになりました。小学部と中学部は現在の広尾キャンパス、そして高校部のキャンパスも港区内で探しています。
港区に住んでいますが、周りを見ていると、せっかく都心に住んでいるのに、スクールバスで郊外のインターに通うお子様が実に多いのです。本来なら、住居と学校の距離は近いほうが、通学や習い事との兼ね合いを考えても楽だと思うので、我々は都心型のインターを目指していきたいと考えています。
調べたところ、都心でキンダーから高等部まで一貫して持っているインターはほとんど無いので、そこにビジネスのチャンスも見出しています。
また、我々のカリキュラムは、企業とタイアップしたPBL(プロジェクト型学習)も多いので、オフィスに近い場所にキャンパスがある方が、タイアップやインターン先を見つけることが容易なので、そこもメリットだと考えています。私は今、40社強の会社に投資をしていますが、経営者の皆さんは自分の仕事にプライドを持ち、次世代にその魅力を伝えたいという思いをお持ちの方が多いです。今後はもっと実学的なタイアップ授業を組んでいきたいと考えています。
アイデンティティクライシスを招かない!
日本人のためのインターに
-どのような生徒が多いですか?
我々の理念に共感して入学いただくのは、圧倒的に経営者のご子息が多いです。一般的にインターというのは、国籍の多様性を担保するために、日本人ファミリーが入学できる枠数が決まっています。
ただ、民族学校のようなインターに入学しても、 英語を話したらアメリカ人ほどうまくない、日本人だけど日本の歴史や文化が分からない、日本社会に馴染めない、日本国籍の外国人のように育ってしまい、アイデンティティクライシスを招くような例があると聞きました。
私は、英語ができるようになることが、グローバル教育ではないと考えています。日本が好きで、日本人として日本の魅力を胸をはって語れる、CTISの生徒にはそんな人に育ってほしい。日本人のためのインターナショナルスクールになりたいと考えています。
新しい教育をデザインし、挑戦し続けたい
―今後の抱負について教えてください
CTISでは、様々な社会人から幅広い人生の選択肢や職業について学び、生徒一人ひとりが自分の好きな気持ちや得意な部分を伸ばせるように手助けをしていきたいと思っています。
IBスコアを上げたり、IVYリーグに行くことだけが人生の全てではなく、生徒の進路は日本の大学でも海外の大学でも良いし、卒業してすぐに起業しても良い。既存の学校のように規則の型に生徒をはめ込んだり、「こうあるべき」というルールを持たず、新しいことにどんどん挑戦できる環境を提供していきたいです。CTISは教員やスタッフの裁量権が非常に高いので、学校全体として新しい教育をデザインし、民間から日本社会に一石投じていきたいと考えています。
皆がやっていることは我々がやらなくても誰かがやるので、我々はオリジナリティを持って、誰もやっていないことをこれからもやり続けていきたいです。
原稿:高橋香織(eduJUMP!編集長)、構成・校正:原知子(eduJUMP!編集部)
Capital Tokyo International School(キャピタル東京インターナショナルスクール)
〒106-0047 東京都港区南麻布4-11-30南麻布渋谷ビル4階・5階
公式サイト:https://www.capitaltokyo.com/