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【特別インタビュー】連載vol.4
1日30分!家族タイムの重要性

スマホもテレビもOFFにした
1日最低30分の家族タイムの重要性

非認知能力の重要性を語り、多くの著書を持つボーク重子さん。アメリカ人の夫との間に生まれた娘、スカイさんは2017年に知力、コミュニケーション力、自己表現力、特技など総合的に競い合う「全米最優秀女子高生(The Distinguished Young Women of America)」において最優秀賞に選ばれました。
母であるボーク重子さんは、一度も「勉強しなさい」と言わず、何より非認知能力を育てたことが子育ての成功だったと話しますが、今やコロンビア大学を卒業したスカイさんの子育てを今振り返り、改めて大事なポイントを伺いました。(4回目/全4回)

*連載(全4回)*
Vol.1 英語は非認知能力+認知能力で上達!
Vol.2 「やりなさい」は子どもに逆効果
Vol.3  親が手本の“モデリング”子育て

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失敗談もアドバイスも年齢関係なく

子どもに自分の失敗や挑戦も含めた人生の楽しい生き方を見せるには、対話が重要。
対話は、幼い頃から今でも家族の中で大事にしている時間です。

最低でも夕飯の30分は一緒に過ごします。
アメリカなので夜遅くまで家に帰れないことはありませんが、それでも可能な限りこの時間は一緒に過ごします。出かけるなら夕飯が終わってからにすることもあります。
そして、食事のときはテレビやスマホなども卓上には持ち込まない。今でも必ずそうしています。
20年以上やってきているから、もうすでに習慣になっているので、考えずとも自然と食事の時間にスマホは持ち込まないのです。これが習慣の強みですよね。

そこでどんな話をするか……。
たわいもない話でいいのですが、我が家の場合は、前回もお話ししたように大抵は“ママの失敗談”でした。
「今日こんなことやらかして……どうしよう」とか。
私がビジネスを始めたのは、娘が小学校1年生の時だったので「どうしよう」「またやっちゃった」ということは多々起こりました。夫もビジネスをしていますから「あの会合に全然人が集まらなくて困っているんだよね」「トップとしてあれまずいよね」と話すこともあります。
そういう時、当時小学生だったスカイは、真剣に話に耳を傾け、自分の意見を一生懸命話してくれました。そこには子どもだからこその純粋な答えもあって、大人の論理で解決策を見つけようとしていた時にはっとさせられたことも多々あったのです。

子どもって純粋なので打算がありませんので、素直に「これがこうなら、こうなるよね。だったらママが悪いから謝るしかないよ」と言われたこともあります(笑)。
だからこそ、こっちもすごく謙虚になれますし、「そんなシンプルに考えていいんだ」と気づきをもらうこともあります。
子どもと話すって、すごい発見があるのです。

大人が真剣に聞くことが何より子どもの自信に

会話の基本は、まず肯定。
なぜなら意見に間違いはないからです。その人の意見は、本人にとってはいつだって正解なのです。意見は意見であって、間違いや正解はないのです。
ある1つの視点、ある1つの考え方に過ぎません。だからこそ、意見が違った時に「否定、批判、非難」はナシです。会話の基本は、「なるほど」「そう言う意見もありだよね」「面白いね」とまずは肯定することなのです。

これほど子どもの自己肯定感を高めることってないんじゃないかと思います。大人が自分の話を真剣に聞いてくれるのです。子どもにとってはすごいことで、「あ、それいいね!それやってみようかな」って大人に言われたら、自己肯定感に加えて、さらに自己有用感が高まります。
自己有用感(Self-efficacy)は、今、改めて注目されている教育のキーワード。
自分が誰かに役に立つという感情は、他者の立場に立って考えたり、自分はどんな役に立てるのかと考えたりするという、社会に自分が関わって貢献する力を育てます。
そして、“役立つ自分”を感じられると、自己肯定感も高まります。

自己有用感とは

自己肯定感にはいくつかの考え方があります。狭い意味だと、自尊感情と自己受容感。つまり、自尊感情=自分には無条件に価値があるという感情、そして自己受容感=これが自分だと良いところもダメなところもある自分をあるがままに受け入れる感情です。

あとは、この2つに加えて自己有用感、自己効力感、自己決定感、自己信頼感という4つを加え、この6つを全てまとめて自己肯定感とする-という広義の捉え方もあります。私が主催するBYBSコーチングでは自己肯定感を狭義に捉えていますので、あえてここでは自己肯定感と自己有用感は分けてお話ししています。

自己有用感を育てる家庭内のお手伝い

家庭の中で自己有用感を育てるのは、実は一番簡単なのです。それは、お手伝いをさせること。家庭の中で役割をあげるのです。
「この家族が機能するためには協力する必要があって、できることで助け合いましょう」「じゃあ、何ができるかな?」と子どもと相談してみてください。
お手伝いというよりも家族が機能するため、家族が一緒により幸せになるための役割ですよね。

そしてやったら当たり前ではなく、「助かった!ありがとう」とやった行為をちゃんと認めてあげること。役割って決めてしまうと「やって当たり前だよね。なんでそんなことでお礼を言わなきゃいけないの」となることもあります。特に夫婦の間ではありますよね。
でも、やって当たり前はない。やってもらったらきちんと感謝をして伝える。
すると、「自分がやっていることが誰かの助けになるんだ」ということを実感できます。それはすごく気持ちいいこと。その気分を味わったら、きっとまた味わいたくなるのです。

自分で決定権を持つと責任も持つ

大事なのは、「これやってね」という押し付けではないこと。「しなさい」と押し付けないことで育まれる力が2つあります。それは自己決定感自制心です。

人は「自ら決めてやる」時に責任を感じてやり遂げます
責任を持って物事をやってもらうには、決定権が誰にあるかということが重要です。「やって」「しなさい」と言うと、決定権は言った人にありますよね。やってる人は、やっているではなく「やらされている」になります。誰かが決めたことに従っているに過ぎません。
また私たちには心理的リアクタンスというものがあって「しなさい」と言われた途端にやりたくなくなるというリアクションが出ます。

だからお手伝いを決めるときも「これやって」じゃなくて、「何ならできると思う?何が得意?どんなことができると思う?」と聞いてみることが鍵となります。

もしまだ幼いのなら、「これとこれ、どっちならできると思う?」と選択肢をあげてもいいかもしれません。でも、決めるのはお子さんです。すると、自分で決めたという感情が持てて、主体的な行動に出て、責任を持ってやり遂げるのです。

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ボーグさんの新刊『しなさいと言わない子育て』(サンマーク出版)

自制心を育てる2つの方法-親が楽しく生きる

次にもう一つ「しなさい」と言わないことで育まれる力、自制心について。
自制心とは嫌なことを我慢する力と捉えられがちですが、本来は「先を見越す力」です。「これをやったらその先にはこんないいことがある、だからやろう」という力です。または「これをしなかったらその先にはこんないいことがある、だからやめよう」。

自制心は人生の幸せと成功に直結していると言われます。だからこそ、育んであげたいですよね。お手伝い以外にも自制心を効果的に育む方法が2つあります。

1つは、頑張った先に良いことがあるんだよ、ということを親が見せること。
「今、頑張って勉強しておけば、5年、10年後に絶対役に立つから!」と言われてやらされても、子どもにとってみれば「まだ10年くらいしか生きてないんだから、この先なんてわからないし。それより今はゲームやりたいよ」と思いますよね。だからこそ経験させてあげないとわかりません。
「頑張ったら良いことあるよ」と言ってる親が、仕事も人生も楽しくなさそうに最悪の表情をしていたら、何の説得力もないのです。

だからこそ、親が楽しく生きる姿を見せることがとても大切なのです。
そのためには親も自分が大好きなことをする。パッションを持つ。それは仕事に直結していなくていいのです。趣味でもなんでもいい。自分が好きなことをしている時こそ私たちは幸せを感じるのですから。

自制心を育てる2つの方法-先を見越す機会を増やす

もう1つは、子どもが先を見越す力をつける機会を増やしてあげること。
大人だって目の前の誘惑には勝てない時があります。子どもなら尚更そう。5年、10年先の幸せよりも目の前のゲームをしたくなります。そこで自制心を発揮して、やるべき宿題をできるようになるためには「待ったその先には、いいことがあるよ」を経験させてあげることです。子どもが「ママ!」と声をかけてきた時がチャンスです。そこで「待つ」訓練をすると、自制心を育むことにつながります。

代表的な例は「マシュマロテスト」ですが、5分待ったらマシュマロが2倍もらえることを本当に体感したら、またやりますよね。本当にこれをやったらこんないいことがある、と言うことです。
子どもが「ママ、ママ!」と言っていても、自分が忙しければ「ちょっと待ってね、今ママはこれをやらないといけないから、時計の針がここに来たら一緒に遊ぼうね」ときちんと話すことです。そしてその時間になったら、親も約束を守る。

そして待ってくれたことに「ありがとう」を言います。「待って当たり前」はないし、ここでありがとうを言われることで、「ママの役に立った」という自己有用感も同時に育まれるからです。そうするとまたこの良い行為を繰り返したくなりますよね。そうして自制心も効果的に育まれるというwin-winな環境を作り出すことができます。

嫌なことを我慢させるのではなく、「いいことが待ってるから今のこれを頑張ろう」と思わせることです。それを訓練してあげると、目の前の誘惑に負けないで頑張る自制心が育っていきます。

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著者:岩辺みどり【ほかの記事を読む:過去記事

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