連載6: ポストコロナ時代の、デジタル活用学習のパラダイムシフト

5. 個別最適な学びの教育現場でのメリット

ここまで見てきた、デジタルを活用したPersonalized Learningのメリットを、各立場から見ていくことにします。

1) 教員側にとって

Personalized & Adaptive Learningは、大規模な学校においても一人一人に学習経路を提示できます。教員のリソースがしばしば不充分な小規模な学校では一層意味があるでしょう。

テクノロジーの力を活用することで、教員は個々の生徒の学習状況をシステマティックに把握でき、どの生徒にどのような支援を提供するかの材料を得ることができます。また理解の進んだ生徒にはシステムを通じてより高度な課題を与えることができます。

この学習手法の導入により、先生は講義する時間は減り、学んでいる生徒の進捗をパソコンで確認したり、教室内を巡回して個別指導する時間が増えます。さらに、個別化学習部分(インプット)を自宅での宿題(予習・復習)とすることにより、授業時間をディスカッション・実験・グループ学習等のアウトプットや個別指導に充てることができます。

2) 保護者とって

個別の生徒の得意・不得意分野が、感覚ではなくFactとして見える化されて学校からフィードバックされることにより、保護者も子どもの学習進捗をより的確に把握でき、家庭での支援もしやすくなります。また保護者と学校との間の生徒の方針に対する合意ができやすくなります。

3) 生徒にとって

生徒は、ある不得意な科目がある場合、また学習中に躓き箇所がある場合、システムの判定によりゆっくり学ぶことができます。逆に得意な科目や分野がある場合は、早期に基礎分野をマスターし、上級部分にも進むことができます。教員の話が「やさしすぎる」「むずかしすぎる」事が減り、学習意欲に改善にも繋がるでしょう。

また、学習の結果がFactとして見えることで、生徒自身が、強み弱みを正確に理解し、中長期的には本人の進路やキャリアを考える指針となります。

ムサシインター 宇野令一郎
ムサシインター 宇野令一郎
慶應大学卒業後、東京銀行に勤務。その後、カナダMcGill大学経営大学院MBAを取得。帰国後、大学設置事務局長を務める。東京のケンブリッジ国際認定校及び国際バカロレア認定校のインターナショナルスクールを経営。熊本大学大学院の教授システム学の講師も務める。
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