「国際人」を増やすために尽力している人々をご紹介する【極:国際人】シリーズ。英語力強化プログラム、海外大学進学コンサル、留学費支援の財団法人、インターンシップ提供など「国際人」として第一歩を踏み出す機会を提供する活動にフォーカスしています。海外で学びたい方、グローバルに活動したい方、必読です!
なぜ?英国のオックスフォード大学とケンブリッジ大学の両方を卒業!
File.1 南 健太さん(Quest Inc.)
英国を代表するオックスフォード大学とケンブリッジ大学。毎年4月にイングランド・ロンドンのテムズ川で対抗レガッタでもライバルであり、両校とも歴代英国の首相を輩出している名門大学です。そのオックスフォード大学で学士号を得て卒業後、ケンブリッジ大学で修士号を修得した日本人がいます。
異色のキャリアの持ち主は、南 健太さん。
南さんは日本の公立中高を経て英国のパブリックスクールへ編入。その後、オックスフォード大学に入学し、ケンブリッジ大学で修士号を修得しました。編集部では、南さんのこれまでのキャリアと学生インターン育成事業について伺いました。
南 健太さん オックスフォード大学、及びケンブリッジ大学を卒業後、Boston Consulting Group(東京・ムンバイオフィス)、BCGデジタルベンチャーズを経て、2018年にQuest Inc.を設立し代表取締役に就任。
BCGでの採用活動、Questでの大学生インターンシップ提供、非営利団体learning across bordersのコアメンバー(大学生向けスタディツアー提供)、等の活動を通じて長く大学生に対する教育・採用の経験を有する。 今後は幅広い年代に対し教育機会を提供することを目標としている。ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンスのアドバイザー就任。
生い立ちについて
父が商社マンだったことから2歳から7歳までソ連(現・ロシア)に住んでいて、そこから東京に戻ってきました。中学校までは大田区の公立校に通っていたのですが、ちょうど高校受験のときに当時の都の学区制度が廃止されて学区外の高校が受験できるようになったので、少し遠い都立高校に進学しました。
公立に通っていたのは両親ともに大学まで国公立だった影響であまり勉強を押し付けずに自由にやらせたいと思っていたからのようで、よく母から「人に迷惑をかけなければ自由に生きていい」みたいなことを言われていました。なので、塾も高校受験の夏期講習の2週間以外は通ったことがなかったです。
その一方で、特に父が勉強よりも運動をさせたいということで色んなスポーツをしていました。
小学校3年生のときに、「野球かサッカーを選べ」と言われて野球を始めたのですが、中学校でバスケットボール部、高校では水泳部に入りました。
瞬発力はないのですが、比較的持久力はあり運動も学校の中ではできる方ではありました。短距離走ではリレーの選手とかは縁遠かったのですが、マラソン大会で1位をとったりはしていました。運動を通じて我慢強さが身に付いたという意味では後ほどのキャリア形成にも役立ったかと思っています。
渡英のきっかけ
高校に進学するときに父がイギリスへ転勤することになったのですが、せっかく志望していた高校に進学できるということもあり、日本に残ることにしました。
日本での高校生活は楽しかったのですが、成績も中の下くらいでこのままの状態でいったときに自分は何になるんだろうと漠然とした不安を抱き始めていました。
そんな中で父からの誘いもあり、渡英してみることにしました。色々悩んだ上での決定というよりは、「何とかなるだろうしとにかくやってみるか」程度で考えていました。
今思うと、そういうよく分からない環境に飛び込んでいくのはソ連のような全く違う環境で幼少期を過ごしたことが影響しているのかもしれません。高校1年の終わりに退学届けを出して、高校2年になる前に向こうのインターナショナルスクールに編入しました。
現地のインターナショナルスクールからオックスフォード大学合格までのエピソード
インターナショナルスクールに1年ちょっと通った後、現地のパブリックスクールに編入して大学入学までに2年在籍したのですが、この3年間が人生の中で一番勉強した期間でした。
もともと英語ができたわけではなかったので、最初は全く英語が分からず苦労しました。
当時ハリーポッターが流行りだした頃だったので、ひたすらハリーポッターを読んで知らない単語を全部メモして暗記したりもしました。

ハリーポッターは英語が比較的分かりやすいので、最初1週間で50ページしか読めなかったのが、3ヵ月もすると1週間で300ページ程度読めるようになりどんどん英語力が上がった記憶があります。
また、日本ではあまり勉強をしていなかったのですが、せっかく飛び込んだ環境だからとかなり勉強をするようになり、学校の他の誰よりも勉強をしていました。
「それだけ勉強すれば誰だって成績よくなるけど、そんな勉強してどうするんだ?」といったことも友人に言われたりもしました。
今振り返ると、忍耐強く取り組む姿勢は小中で運動をしていたところからきたような気がしています。また、海外ならではの少人数クラスで行き届いた教育を受けたことも勉強を頑張れた一因かと思っています。
英語がある程度できるようになり成績もよくなっていったので、大学はオックスフォードを目指すことにしました。
また、当時先に大学に入った姉が心理学を専攻していて、自分も自然と心理学に興味が湧くようになりました。
当時から「人生の目的」のようなことに興味があり、人の心を理解することで自分の幸せ、ひいては人の幸せに貢献することができないだろうか、みたいなことを考えていました(今考えてみると甘い考えではあったのですが・・・)。
オックスフォード大学の受験は、独自の筆記試験と面接があり、ストレスも大きかったのですが今振り返ってみるととても楽しかったです。

準備として自分の興味のある心理学系の本を読んだり、大学の先生のポッドキャストを聞いたりしていたのですが、誰かに言われた内容というよりは本当に自分の興味の向くままに学校の勉強に関係ないことを突き詰めていたので初めて勉強する楽しさを知りました。
実際の大学の面接でも「現在の脳の状況が分かったとして将来思うことを予測できるようになると思うか?」、「この心理学の実験の結果としてこういうことが分かったけど、そこから何が言えると思う?」、といった思考を試すような質問をされたことを今でも記憶しています。

なぜオックスフォード大学からケンブリッジ大学へ?
オックスフォード大学で心理学を3年間学んだのですが、そのとき自分なりに持った結論は「人について理解することは難しい」ということでした。
当たり前ではありますが、発展途上の分野なのでいくらでも定説がひっくり返るし、まだまだ分からないことが多い分野でした(だからこそ面白いということを当時の自分が理解するには若かったような気がします・・・)。
そんな中で、人の幸せを考えたときに、これまで先進国のみの視点で物事を見てきたけれども、途上国に目を向けると別の見え方があるんじゃないかと思い始めました。
先進国は物質的に満たされた中で幸せを考えることが多いけれども、そもそも物質的に満たされていない場合のアプローチは全く違うものになるのではないか?精神的な幸せよりも物質的な幸せの方がよりダイレクトに自分が貢献できる部分があるのではないか?といったことを考え始めました。
そのような興味から、夏休み中にアフリカに行ったりしていたのですが、結果としてケンブリッジ大学の修士課程に進学し、国際開発学を専攻しました。

これは学部でも同じだったのですが、基本的にはテーマに沿って自主的に勉強し深めていくスタイルなので、今まで触れたことのなかった学問に触れるのは楽しかったです。
自分が面白いと思う本をひたすら読んで、その中から自分の意見を形成してスタンスをとっていく、というような方法で学んでいました。
強制されている感覚のない勉強というのはやはり楽しいものだったと今でも思っています。

経営コンサルタントになったきっかけ
開発学を勉強する中での一番の学びは、物質的に満たされるためには国が発展すべきだし、国が発展するには自国の産業を作っていくことが大事、ということでした。
産業の発展には政策レベルでの貢献も大きいのですが、当然ながら産業を興していくビジネスサイドの人材も必要になるので、ビジネスに興味を持ちコンサルティング業界を志望しました。
自分でアフリカに行ってみて、何かやりたいことがあるけれどもどうすればいいのか分からない・助けてほしい、といった人に多く会ったことも影響しています。
そんな中で選んだコンサルティング業界ですが、結局10年程度在籍しました。
様々なプロジェクトに関わる中で、新しいことにチャレンジができる業界なので、色んな経験ができたことはとても良かったと思っています。

なぜ起業を?Quest創業までの経緯と会社を経営するにあたりモットーにしていること
コンサルティング業界で働くことはエキサイティングではあったのですが、「結局この仕事が自分・人の幸せに繋がっているのか?」の整理がだんだんつかなくなってきたので少し立ち止まってみることにして、その方法として起業を選びました。
このときも、イギリスに行ったときと同様に「何とかなるだろうしとにかくやってみるか」程度で楽観的に考えていました。
何をするかのアイデアは幾つかあったので、まずやってみることにしたのがQuest創業のきっかけです。
今は、その中で出てきた消費者調査(アンケートやインタビュー)をより高速・手軽にする事業と、その調査を活用したコンサルティング事業の2つの事業を展開しています。
会社を経営する中で大事にしていることは幸せにこだわることです。
仕事をしていると、会社や社会を優先することがどうしても多くなってしまうことが体感値としてあるのですが、そうではない場所をつくっていきたいと考えています。
人が生きることの目的は究極的にはそれぞれの幸せだと思っているので、自分も一緒に働く人達もそれぞれ幸せを追求できる場所になると素敵だと感じています。
学生インターン育成事業について
Questではこれまで50人近くのインターン生を受け入れてきたのですが、その中で就活や実際の社会に出た後の仕事に役立ったという声を多く頂くようになってきています。