2. 日本における大学の国際化 寄稿: 今川新悟氏

国際学部・コースの増加

 ダブル・ディグリー・プログラムは、複数の連携する大学間で開設された同じ学位レベルの共同プログラムを修了した際に、各大学がそれぞれ学位を授与するプログラムである。

 日本の大学においても、海外大学の学位を取得できるプログラムとして、一番オーソドックスなタイプとなっている。

 これまでも交換留学等で交流実績のある海外大学と協定を締結することが多いため、他の学位取得型のプログラムと比較するとプログラム化がしやすいこともあり、文部科学省の調査「大学における教育内容等の改革状況について(平成29年度)」においても、国内の大学で1196件(国立:524件、公立:30件、私立:642件)のダブル・ディグリー・プログラムが開設されており、年々増え続けている。

 世界トップ大学とのダブル・ディグリー・プログラムを実施している大学(慶應義塾大学・北京大学やパリ政治学院など、早稲田大学・シンガポール国立大学や北京大学など)や全米で有効な司法試験受験資格が得られるプログラム(同志社大学・アリゾナ大学)など、国際通用性のある学位や受験資格を得られるプログラムの導入も進んできている。

 今後は、直接海外大学へ進学するよりもリーズナブルに学位を取得することができるという点や日本の大学の学年歴に沿ってプログラムが展開されているため、入学と卒業の時期がズレない点も踏まえると、さらにニーズが高まってくることが予想される。

デュアル・ディグリー・プログラム

 デュアル・ディグリー・プログラムは、異なる専門性を学び、それぞれ異なる専攻の学位を取得するプログラムである。

 ダブル・ディグリー・プログラムとの違いとしては、同じ専門分野を日本の大学と海外大学で学ぶのではなく、それぞれの大学で異なる専門分野を学ぶ点である。

 2019年度より、立命館大学グローバル教養学部とオーストラリア国立大学アジア太平洋学群が双方の大学の学位を取得できるプログラムを日本で初めて導入している。

 グローバル教養学部に入学した学生は全員が「立命館大学 学士(グローバル教養学)」と「オーストラリア国立大学 学士(アジア太平洋学)」の2つの異なる専門性の学位取得を目指すプログラムとなっている。

 立命館大学ではグローバルリベラルアーツを、オーストラリア国立大学ではアジア太平洋地域に特化した国際関係学を学ぶことにより、アジアのリーダーを育成するプログラムとなっている。1年間はオーストラリア国立大学への留学が必須となっており、全員がオーストラリアへ留学することとなる。

 また、日本にいる3年間のうち、2年次と4年次にはオーストラリア国立大学の教員が日本に滞在し、日本にいながらオーストラリア国立大学の授業を受講することができるプログラムとなっており、4年間で双方の大学の単位を互換しながら、2つの大学の異なる専攻の学位を取得することができる。

ジョイント・ディグリー・プログラム

 ジョイント・ディグリー・プログラムは、連携する大学間で開設された共同学位プログラムを修了した際に、複数の大学が共同で単一の学位を授与するプログラムである。

 「我が国の大学と外国の大学間におけるジョイント・ディグリー等国際共同学位プログラム構築に関するガイドライン」(平成26年11月14日策定)に基づき、現在までに11大学24件(2020年10月現在)のプログラムが開設されている。

 そのほとんど(10大学23件)が国立大学の大学院プログラムとなっており、私立大学かつ学部レベルのプログラムでは、2018年度に立命館大学とアメリカン大学が導入したプログラムのみとなっている。

 従来のダブル・ディグリー・プログラムに比べて、日本の大学と海外大学が緊密に連携したカリキュラムを提供し、合同で単一の学位を授与することで、より統一的なプログラム運営を行うことができるという利点がある。

 立命館大学とアメリカン大学におけるジョイント・ディグリー・プログラムでは、双方の大学が連携したカリキュラムを構築し、授業の質はもちろんのこと、授業の運営方法や成績につけ方など細かい部分まで一つ一つをすり合わせながら、プログラムを運営してきている。

 学生たちは、立命館大学からスタートする「RU-HOME」学生とアメリカン大学からスタートする「AU-HOME」学生がおり、それぞれが日本で2年、アメリカで2年の計4年間をかけて日米の両方の視点で国際関係学を学び、卒業時には立命館大学とアメリカン大学の連名で一つの学位を授与する。

パラレル・ディグリー・プログラム

 パラレル・ディグリー・プログラムは、留学を必須とはせずに、4年間日本で学びながら海外大学の学位を取得することができるプログラムである。

 他の学位取得プログラムとは異なり、留学をせずに海外大学の学位を取得することができるため、費用を抑えることができる点がメリットとなっている。

 2015年度より、武蔵大学がロンドン大学の学位取得ができるプログラムを日本で初めて導入しており、経済学部の学生のうち30名程度を対象に実施してきている。

 1年次の9月からロンドン大学のIFP(基礎教育プログラム)科目を4科目履修する。IFPの期末試験に合格すると、2年次の9月からBSc(専門教育プログラム)の履修が可能となり、3年間で12科目を学ぶこととなり、最終試験に合格することでロンドン大学の経済経営学士号を取得することができる。これらの科目は武蔵大学の教員によって英語で開講されている。

国際化が進む大学における就職活動

 前述のように、大学の国際化が進む中で大学在学中に留学を経験した学生たちを採用したいと考えている企業も増えてきており、様々な形で採用活動を行っている。

 Society5.0に必要な人材の要件の中に「外国語コミュニケーション力」や「海外留学経験」を挙げられており、これからの時代においてはどの企業においても必要とされている能力や経験であることが明らかとなっている。

 海外大学や大学院で学ぶ留学生をはじめとするバイリンガルの人財を対象としたキャリアフォーラムを実施してきている株式会社ディスコでは、1987年にボストンでキャリアフォーラムを開催して以降、現在ではボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコ、東京、大阪、ロンドン、シドニー、上海にも開催地を広げてきている。

 このキャリアフォーラムは、優秀なバイリンガル人財とグローバル企業との出会いの場であり、海外で学んできた学生たちにとっての重要な機会となっている。

 一方で、海外留学等を経験した学生たちのニーズも多様化してきており、国内のグローバル企業に限らず、大学卒業後すぐに海外就職を目指す学生も年々増えてきている。

 これまで海外就職は、即戦力が求められていることから、日本の企業で一定期間の就労経験を積んだ上で、転職するケースが一般的であった。

 近年では、国内大学でもオールイングリッシュのプログラムで学ぶ学生やタブル・ディグリー・プログラム等で海外大学の学位を取得している学生が増えてきており、「英語を使って働きたい」「海外で働きたい」というニーズが高まってきている。

 2009年から海外就職支援を行っているGJJ株式会社では、複数の大学から依頼を受けて、大学生を対象とした「海外就職支援セミナー」などを行っており、学生向けの海外就職支援にも取り組み始めている。

 このように、大学の国際化が進む中で、学生たちのキャリアも多種多様になってきており、従来型の就職活動を経て、日本国内の企業に就職するだけでなく、バイリンガル人財を対象としたキャリアフォーラムを経て、グローバル企業に就職する学生や大学卒業後すぐに海外で働くことを目指す学生、さらには国内外で起業する学生など、選択肢は大きく広がってきている。

 日本企業の海外展開や外資系企業のアジア展開、日本企業の外国人雇用における体制構築など、「グローバル人財」と呼ばれる学生たちの企業側からのニーズは高まる一方であり、日本の大学の国際化が進む中で、今後も学生たちのキャリアは多様化していくであろう。

寄稿:立命館大学 今川新悟氏

eduJUMP! 編集部
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