【連載1】なぜ元海外駐在のエリートが、アジアのボーディングスクールを選択するのか?

1990年からの失われた20年。

日本は、世界大学ランキングで日本は、中国、韓国、シンガポールの大学に抜かれました。
その間、IT産業を筆頭にデジタルシフトをしていきました。
その過程で、大企業メーカー出身のエリートは、一つの決断をします。
それは、アジアのボーディングスクールを探し、子どもの選択肢を広げる「教育戦略」でした。

ieNEXT編集部では、その理由と背景、そして、現在のアジアのボーディングスクール事情について津吹達也氏に寄稿をお願いしました。


日本の教育が変わる?

2020年の文部科学省の学習指導要領の改定とともに、日本の教育は変革の真っただ中にあります。

大学入試はAO入試の導入などにより、これまでの一律的な偏差値型の教育から、社会の多様化にあわせた形式の入試と教育が模索されています。また、その選択肢は年々、多様化しています。

オンラインで学ぶ学習を中心にしたカリキュラムや英語で学ぶスクールや多様性理解など国際教育にフォーカスした学び、STEAMと言われる理工系学習をおこなう学校など、さまざまな特徴を持った学校が誕生し、話題になっています。

ものづくりをはじめSTEAM教育が注目を集めています。

特にオンライン教育は、2020年からのコロナ禍は、教育そのものの価値、学校のあり方にも大きな影響を与えました。

非常事態宣言から、ステイホームとなり結果的にオンライン学習が自宅で取り組まれるようになるとは、誰も予想ができなかったのではないでしょうか。

駐在中のインドネシアで気づいたこと

1990年代後半、筆者は、20代前半で日系メーカーに勤務していました。

当時、インドネシアに駐在をしていましたが、首都ジャカルタの街の至る所に日本企業の看板が輝いていました。

TOYOTA、SONY、Panasonicなど、アジアの空港に降り立つと日本メーカーの看板を目にしてきました。

高度成長を続けるインドネシアのジャカルタ

海外メーカーとグローバルに競いながら、築き上げてきたブランドが光り輝く光景に日本人として誇りと自信を持っていました。

時は流れてインドネシアに駐在から20年後。2017年の夏、教育の事業のためカンボジアに着任しました。

しかし、その時のカンボジアの光景は20年前のジャカルタとは全く異なったものでした。
中国や韓国のメーカーの看板やネオサインが光り輝いていたのです。

そこには、日本メーカーの姿はほとんどなく、街を歩いていても、アジア人と思えば中国語で話しかけられました。

カンボジアの若者は、スマートフォン片手に英語でコミュニケーションを取っていました。20年前のインドネシアの記憶を鮮明に覚えていた筆者にとって、大きなカルチャーショックでした。

日本の教育に対する疑問

自身は10年ほど前にグローバルメーカーから国際教育業界に転職をしました。

キャリアチェンジをし、今の日本の教育制度や時代のギャップ、アジアに追い抜かれる危機感を感じます。

同時に日本の教育業界に疑問がわいてきました。

なぜ、日本の教育ではグローバルで活躍できる素養(言語や多様性理解)が身につかないのだろうか?なぜ、日本の教育では高度なITリテラシーが身につかないのだろうか?
なぜ、日本の教育ではクリエイティブな発想やイノベーションを起こす素養が身につかないのだろうか?

この疑問は、日本の小学校に通っていた長男の授業参観で強く感じました。

授業参観で見る授業は、20年前、いや自分自身が教育を受けた40年前とさほど変わらない光景がありました。

黒板にチョークで書いて先生が話す。手を挙げて発言する生徒たち。
言語はもちろん日本語、教室の片隅で埃をかぶっていた先生用のPCやタブレット…。

果たして、この授業は今の日本のテクノロジーやグローバル時代に合った教育なのだろうか?

それらの疑問は、次第に危機感に変わっていきました。
その中で、日本の教育システムに限界や危機感を感じている同志となる人たちとも多く出会うことができました。

既存の業界の旧態的な教育の塊を「ガラガラ」と崩して、良い「ポン」を作ろう!と考え、ああだこうだとディスカッションをするプロジェクトの教育ガラガラポンprojectはそのひとつです。

教育ガラガラポンprojectの公式ホームページより引用。

私自身が授業参観で感じた危機感。そして、新たな教育を探したい、という好奇心を家族で共有することができました。

夫婦で話し合い、そして、当時公立小学校に通っていた長男は、マレーシアの全寮制のインターナショナルスクールに通い始めました。

コロニアル調の緑豊かなマレーシアのボーディングスクール

日本の公立小学校に通っていた長男にとって、マレーシアの全寮制のインターナショナルスクールに入学することは、不安の連続だったでしょう。

しかし、現在中学3年生になる長男は、文句も言わずマレーシアの学校生活を楽しんでいます。

寮には、ビリヤード、卓球、テーブルサッカーなどがあり、寮生活もコミュニケーションが増える仕組みにも魅力がある。

長男のマレーシアのボーディングスクールを選んだ経緯などは、この連載でもお伝えしていきます。

今の世の中は、グローバルとボーダレス、産業革命4.0、STEAM教育や国際バカロレア教育など多様な視点がリアルタイムで動いています。

本連載では、さまざまなキーワードとともに教育業界にいる私自身の疑問を照らし合わせ、お伝えしていきます。

津吹 達也
津吹 達也 武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 教員就任予定 アロワナアドバンスドアドバイザリー合同会社 代表理事  一般社団法人 教育ガラガラポン 理事 株式会社トラデュケーション 代表取締役 グロービス経営大学院2012年卒業(MBA) 1975年大阪生まれ。立教大学文学部を卒業後、松下電器産業(株)(現パナソニック(株)入社後アジア地域の海外営業、インドネシア駐在を経験。その後国内IT企業の海外事業展開責任者として香港・シンガポールの現地法人の立ち上げを行う。 2008年より高等教育領域に携わり教鞭をとる。2008年から立教大学経営学部(ビジネスリーダーシッププログラム)の教員として科目開発と授業を担当。2014年立教大学BLP Advancedで経済産業省キャリア教育アワード受賞。2014年より京都工芸繊維大学にて次世代リーダー育成の産学連携プログラム(Tech Leader Program/Kyoto Startup Summer School)を立ち上げる。 現在は都内インターナショナルスクールの立ち上げと経営推進を担当しながら、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(2021年4月開学予定)の立ち上げ準備に携わる。アロワナアドバンスドアドバイザリー合同会社では広く社会・地域への教育領域での提言やアドバイザリー活動を行っている。また産官学を広く束ねた教育業界のこれからに関する知見収集と意見交換のコミュニティとして一般社団法人教育ガラガラポンを運営している。「「IT前提経営」が組織を変える(2020年近代科学社)」共著
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