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話題作『いくつになっても恥をかける人になる』から考える Part2

ビジネス書『いくつになっても恥をかける人になる』では、日本人の意識に根深く潜む「恥」の感情を分析。

恥を受け入れることで、よりチャレンジングな自分へと高めるヒントが満載の話題作です。

この恥へ向き合い方を、教育の現場に置き換えたらどうなるのか。

著者である恥研究家・中川諒氏と日本の教育を考える「教育ガラガラポンプロジェクト」の代表であり、電通クリエイティブ・ディレクターの福田崇氏が対談。

「恥と教育」の関係性について考えました。

Part1 恥とは何か『いくつになっても恥をかける人になる』から考える
Part2 日本の教育が植え付けてきたからの解放


プロフィール
中川 諒氏

株式会社電通 コピーライター・恥研究家。慶應大学卒、広告代理店に入社。希望のクリエイティブ局に配属されなかった経験と、幼少期の海外体験から、恥を研究。20216月に『いくつになっても恥をかける人になる』を刊行。オンラインコミュニティ恥部(ちぶ)主催。

Twitter https://twitter.com/ryonotrio
インスタ https://www.instagram.com/ryonotrio/

福田 崇氏 

株式会社電通 クリエイティブ・ディレクター。開成高校、東京大学卒。日本の教育をさまざまな観点から考える団体「教育ガラガラポンプロジェクト」代表。 


「恥」を栄養にするには?
自己が否定されない安心できる教育を

福田Part1では、社会人として恥とどう付き合うか、というテーマで進めてきましたが、ここからは少し年齢を下げて考えていきましょう。

日本では、幼稚園や小学生の時期は、はつらつと発言するけれど、中高生になると急に恥を意識して手が上がらなくなるという話をよく耳にします。

その一方で、インターナショナルスクールでは、教師の問いかけに対して、誰もが手を挙げ、積極的に発言するのが当たり前の光景です。どうしてこのような違いがあるのでしょうか。

中川:「誰でも間違える」という前提を共有していないことが原因だと思います。間違えても良いし、発言そのものに価値があるという考え方を共有できていれば、自由で、積極的な発言につながると。

福田:日本の学校教育では、答えのある問いに正解を出すことを前提に授業が進められていますので、生徒が自分の考えを述べる場面が少ないですよね。一つの正解に導く教育ですから、その道から外れたり、他と異なったりすることが恥ずかしいという気持ちを生む。これまでの日本の教育の仕方が、恥を植え付けているように思います。

中川:「これが正解で、これが間違い」というようなことを言わない教育が理想ですよね。正解があるから、間違いが存在してしまう。正解を求めるから、間違うことが恥ずかしくなる。答に照らし合わせて「正解」「不正解」という観点ではなく、意見や発言をすることが「正解」。

そういう指導への転換こそ、恥を植え付けない教育に必要なのではないでしょうか。

自己を否定されない環境を「心理的安全性」と表現されていますが、安心して自分を出せる場として、学校があるべきなのだと思います。もちろん沢山の生徒を抱える学校という現場では、あるルールに基づいて管理することが必要だということも理解します。

福田:最近は、日本の教育も変わりつつあります。もともとは国際バカロレア(IB)の教育プログラムで用いられている「答のない問いへの答を自分で考える」という手法ですが、新しい学習指導要領にも探求型学習という形で組み込まれています。

IB教育では、先生は質問にきた生徒に、考え方の切り口や、新たな視点を提供するだけ。生徒が興味を持ったことに対して深く掘り下げるきっかけを与えます。あくまでも、生徒が答えのない問いに答える手助けをする立場で、答を教えることはしません。日本の先生たちこそ、「正解」に縛られてきたので、改革には時間がかかるでしょうね。

中川:それこそ、教師の方々が自分の「恥」から自由になる必要もあります。

教師=教える師として「何でも知っていて教える人」だと思うと、知らないことや教えられないことが恥になる。

でも「先に生まれた」と書いて先生なので。

ある意味「先に生まれただけ」と考えれば気持ちは少し楽になるのではないでしょうか。あと恥を乗り越えるには、情熱を見つけることが一番です。そうすれば、恥は恥ではなくなる。

例えば、僕は「恥の概念を伝えること」が今の情熱だから、そのために何をしても恥ずかしくないのです。恥はなんらかの負い目があると発生すると思っています。その恥をネタにして行動できるといいですね。 

福田:自分の子供を1歳からインターのプリスクールに入れています。目的の一つは、違う国の人がいることが当たり前であることを認知させることです。

人種も名前の傾向も違う人がいることを、最初からインストールさせる。世の中には様々な人がいて、多様な考えがあるという基盤ができると、恥も怖くなくなる。恥を食べられる人間になると思ったからです。

中川:親の立場で考えると、子供が趣味を持つと、恥を克服する助けになると思います。

趣味が仕事にもつながる時代。自分の好きなことが恥を克服することの入り口になるはずです。

そして、恥を克服するうえで気をつけて欲しいのは、周りの「心無い一言」で心を折られないようすること。

何かに挑戦するときは、ネガティブな意見、例えば、「あいつ下手なのに目立ちやがって」とか、そんな声が聞こえてくると思います。

それでも、「始めたばかりなのだから下手くそで当たり前だ」と、思えるようなメンタリティで継続すること。これが大切なのではないでしょうか。

福田:恥が栄養になる時代になればいいですね。


中川 諒氏
書籍 https://amzn.to/3pVhscc
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記事制作:藤田航陽

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