連載6 インターナショナルスクールフェア 2021 開催レポート 午後の部
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対談「国際教育の共通性とは?‐グローバル社会で生き抜く人材教育を考える」
日本の国際化が急激に進む中で、日本の教育はどのように変わっていくべきなのか。
名古屋商科大ビジネススクール研究科長の横山研治さんとGSAグループ創設者(元インターナショナルスクール教員)ジョン・モントゴメリーさんの対談をお届けします(本文内敬称略)。
登壇者
名古屋商科大学ビジネススクール研究科長 横山研治氏
GSAグループ創設者(元インターナショナルスクール教員)ジョン・モントゴメリー氏
通訳 チョン・サンミン氏
横山 日本の教育は、明治以降、自国経済を富ませることに基づいて出来上がった教育だと言われています。経済と教育が密接に噛み合わさり、戦後~1990年頃まではそれが非常に上手くいき、世界No.1に近い経済大国へと導きました。
しかし、日本の国際化が急速に進む中、国際社会、多文化の中でどう生きるべきかという教育、世界でリーダーシップを取れる人材の育成という点では、遅れをとっているのではないでしょうか。
▽ MBAで授業をする横山先生 公式インスタグラムより引用
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長年、インターナショナルスクールでの教員の経験を持ち、国際教育に精通するジョンさんから見て、日本の従来型の高等教育と国際教育との違いをどうご覧になりますか?
モントゴメリー 国際教育では、視野を広げることが最も重要とされています。第二言語を学ぶのは、その手段となるからです。言語だけではありません。さまざまな教科を横断的に、探究的に学ぶことで、国際的な視野を養うのです。
横山 国際バカロレア(以下、IB)を例にとると、IBプログラムを学ぶ学生は、幅広く関心を持ち、活動の範囲もとても広い。授業中での発言がかなり積極的という特徴がありますが、「自分の意見をきちんと言う」「他の人の意見もきちんと聞く」というのもIB教育では重要なのでしょうか?
モントゴメリー IBプログラム自体が受動的なプログラムではないので、自ら発信させる仕組みで設計されています。自分で表現したいことを、どのように伝えていくかというスキルを付けるのも学びの目的でもありますので、しっかり発信できる人材に育てるというのもの一つのゴールなのです。
横山 日本でも海外校のようなボーディングスクールが増えてきました。さまざまな国や環境で育ってきた“他人”と家族みたいな関係をつくっていく中で、非常に成熟した精神性を持つようになると感じています。人に対する寛容性を育む効果もありますか。
モントゴメリー IBプログラム自体がチームワークをとても大切にしているので、何かを成し遂げるときは、相互が相手の話をよく聞き、相手のことを考えることが求められます。
私はセントメリーズインターナショナルスクールや清泉インターナショナルスクールなど進路相談などでも多くの学生を見てきました。
大変チャレンジングなIBプログラムに立ち向かうべく、お互いで助け合い、チームを大切にする力を培っていました。
横山 IBプログラムの勉強はかなりハードですが、積極的に勉強できるような仕掛けがたくさんあり、仲間と助け合う契機もある。これはまさに、国際社会の中に生きる術につながると思います。
勉強が面白くなる仕組みという点では、来年度開校します国際高等学校では、ハーバード流のケースメソッドを導入します。自分だったらどう解決するか、どう判断するか、ということを仲間としっかり話し、そして考えていく。
ビジネススクールの手法を高校に導入するのですが、IBプログラグラムと合致したメソッドだと私は強く確信しております。
最近、世界で本当に活躍できる日本のビジネスマンが少なくなりました。世界の様々な場で、高い英語力とコミュニケーション能力を持って人々をまとめて、一つの方向に動かしていくようなリーダーシップがあり、そして、人のことを思いやるような日本人が少ないのです。
これはやはりIB教育と重要な関わりがあるように思います。ジョン先生、長い教職経験の中で、たくさんの卒業生を出されたと思いますが、卒業後の活躍で印象的な学生はいますか?
モントゴメリー 西町インターナショナルスクールの学生で、卒業後は世界各国の大学に行き学問を学び、最終的にはロンドンで経済学を学んだ後、日本の外務省に勤務。その後、カンボジアのNGOで働き、今は、ロンドンに戻り仕事をしている卒業生がいます。
学びたい、興味があることを追求するためなら、世界中の国々を巡り、知識や経験を身に付け、そして、自分がしたいと思うことに突き進む。そんな姿が印象的です。
▽ 校舎の桜が咲き始めた西町インターナショナルスクールの公式インスタグラムより引用。
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横山 グローバル社会の中で私達がどう生きていくか。そのために必要な精神の高い成熟性とか、人を大切に思う愛情深い姿勢であるとか、そういう人材を育成できるのがIBプログラムの持っている可能性だと感じました。
12.International College of Technology, Kanazawa
国際高等専門学校 教育課程:高専
ポイント:世界をけん引するイノベーターを育成、工学系科目も英語で学ぶボーディング高専
北陸随一の工学系教育機関として数々のエンジニアを輩出してきた金沢工業高等専門学校を前身に、1998年、国際高等専門学校として開校。
日本初の理工系リベラルアーツ教育を実践しています。世界の技術をけん引するグローバルイノベーターを育成。高専として、理工系の高度な専門技術を英語で学び、世界で活躍し、世界の人々とともに協働し、社会のために何かを作り上げる人材の育成を目指します。
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北陸随一の工学系教育機関として数々のエンジニアを輩出してきた金沢工業高等専門学校を前身に、1998年、国際高等専門学校として開校。
日本初の理工系リベラルアーツ教育を実践しています。世界の技術をけん引するグローバルイノベーターを育成。高専として、理工系の高度な専門技術を英語で学び、世界で活躍し、世界の人々とともに協働し、社会のために何かを作り上げる人材の育成を目指します。
1、2年次は、全寮制のボーディングスクール。白山麓の大自然の中、24時間体制での教育を整えています。世界共通の科目(STEAM)もオールイングリッシュで授業を実施。世界で通用する英語力を徹底的に養います。
3年次は、ニューランドへ留学。一年間ホームステイをしながら国立オタゴポリテクニクに通学。1、2年次に身に付けた英語力と知識を活用し、機械工学、電気工学、コンピューターなど専門科目を履修します。
4、5年次は、併設している金沢工業大学とも連携し、授業や研究室などで学習、研究する機会も設けています。高専での5年間のカリキュラム修了後は、就職または大学(3年次)へ編入の道へ。金沢工大であれば、大学院を含めた9年間の一貫教育が可能。他大、海外工科大への進学も視野に入れています。
金沢キャンパス(石川県金沢市久安2-270)
白山麓キャンパス(石川県白山市瀬戸辰3-1)
国際高専入試センター(admissions@ict-kanazawa.ac.jp)
HP:https://www.ict-kanazawa.ac.jp/
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