日本の高校にいながらオンラインで英米大学受験!
海外の大学に進学してくても、通常の受験であれば高い語学力やそのカリキュラムや受験制度に合わせた勉強が必要になり、ハードルは高いですよね。通常であれば、アメリカの大学に出願するにはSAT、イギリスの大学にはA-LEVEL、他にも海外大学には国際バカロレア(IB)など、海外で通用する試験結果が必要です。さらにはエッセイやインタビューなどもあり、日本の高校カリキュラムをこなしながら勉強を両立するのは難しいのが実情。
しかし、日本の高校に在籍しながらも、日本の高校の成績と英語力の証明で、海外の大学に出願できる制度があります。しかも、各大学バラバラの出願準備ではなく、共通化された願書で複数の学校にアプライできるとあれば、興味がわきませんか?
それが、海外大学推薦制度「UPAA(University Partnership for Alternative Admissions at Selected Secondary Schools in Japan)」です。日本で通う高校がUPAAに加盟していれば、そうした試験の必要がなく、その協定校であるイギリス、アメリカの大学約20校への推薦が可能になるという海外大学進学への道なのです。
■UPAAを利用するメリットは?
メリットは、日本の大学と海外の大学の併願が可能になることです。
専用の勉強をしなくて良いため、日本の大学受験に向けた準備をしながらも、海外の大学受験も可能になり、選択肢が広がります。国を超えたグローバルな併願。これは新しい考え方ですね。
さらには、協定大学に絞られていることでリサーチもしやすく、サポート体制もあります。
注意点は受験へのハードルが下がるため、合格はしたものの実際に通うとなると授業についていく英語力や、海外で生活する適応能力が求められることをきちんと視野に入れておくこと。
受験のハードルが下がっても、入学後は現地で暮らし、現地の生徒たちと同じように学ぶのですから、気持ちもスキルも準備をするにこしたことはありません。
海外大学にどうやって出願するの?
UPAAの出願は、推薦願書の提出、出願、入学手続きまで、全てオンラインで行うことができます。
もちろん加盟高校の生徒(卒業生含む)であることが絶対条件。
出願に必要なのは、UPAAの共通願書。この共通願書で最大4大学まで受験できます。
さらに、英文の成績証明書や卒業証明書(卒業見込み書)。パスポートのコピー。
そして、英語力を証明するIELTSかTOEFL iBTスコアか、それがなければEAT(English Assessment Test)を受験します。こうした必要書類などを提出すると、なんと2~4週間で審査結果が通知されます。
大学側がOKを出した場合、得られるのは「条件付き合格通知」です。
出願段階では、日本の高校生はまだ高校に在学中であり、卒業要件をまだ満たしていないため「条件付き」となるのです。
最終的に、卒業証明書と最終の成績証明書を提出することで正式な合格!
そこからは、日本のUPAAオフィスを通して、進学を決めた学校とのやり取りになっていきます。
日本の大学を受験しているならば、その結果を待ってから海外の大学に返事をすることもできるのも、併願者には魅力的です。
ただし、入学するのであれば学費は通常にかかりますので、学費や海外での生活費の準備は必要になります。費用が心配な人は、日本からの奨学金や現地大学の奨学金制度などがあるかも調べておくといいでしょう。
どんな英米の大学が入っているの?
イギリスの大学の協定校は、現在8校(2021年11月時点)。
例えば2021年の世界ランキング200位以内に入っている大学では、
University of Manchester
University of Exeter
Newcastle University
University of East Anglia
Queen’s University Belfast
などがあります。
一方、アメリカの大学の協定校は、現在10校(2021年11月時点)。
世界ランキング200位以内では、
The University of Alabama at Birmingham
ですが、ランキング500位以内の大学は多くあります。
また、広いアメリカでも、フロリダ州、オレゴン州、ニューヨーク州、コロラド州……などの大学があり、学校生活をどんな街やキャンパスで送りたいのか考えて選ぶこともできますね。
英米大学入学後のサポートは?
UPAAを活用して入学した学生には、「インターナショナル・イヤー・ワン」という留学生向けに特別にデザインされた初年度プログラムを受講します。
イギリスの大学は3年間で、最初から専門の勉強をするため、留学生は「ファウンデーション」と呼ばれる1年間の準備コースを取るのが一般的です。
この「インターナショナル・イヤー・ワン」は、そのファウンデーションの代わりに設計され、きちんと受講を終えると、大学2年次に編集することができます。
アメリカの大学に入学したUPAAの学生も同様に、「インターナショナル・イヤー・ワン」で、アカデミック英語、スタディスキル、学部教科を並行して履修します。大学の授業に必要なスキルを身につけて、2年次に編入します。
急に一般の生徒たちと大学レベルの授業に入るより、ワンクッションおける安心感があるかもしれません。
日本の高校も加盟校続々
加盟している国内の高校は、年々増えています。全校をあげることはできませんが、下記のような学校が加盟しています。
・聖学院中学校高等学校(東京)
・北豊島中学校・高等学校(東京)
・啓明学園中学校高等学校(東京)
・麹町学園女子中学校高等学校(東京)
・実践女子学園中学校・高等学校(東京)
・桐朋女子中学校・高等学校(東京)
・日本大学高等学校・中学校
・八雲学園中学校高等学校(東京)
・山脇学園中学校・高等学校(東京) など
中学や高校進学の段階で海外進学を視野に入れていなくても、学校生活で徐々に自分のやりたいことが見えてくることもあるでしょう。そんなとき、これまで頑張ってきた学びを活かしつつ、海外大学を選択肢に入れることができるのは、とても大きい利点です。また、海外大学とのやり取りやリサーチなども個人で行うととても大変ですから、そうしたことを一貫して行えるのも助かりますね。
海外の大学進学を視野に入れた日本の私立中高受験の際などの、1つのキーワードになってくる「UPAA」。ぜひチェックしてみてください。
参照:UPAA https://upaa.jp/
リーダーを生み出す世界的な私立学校のネットワーク「ラウンドスクエア」もぜひ、参考にしてくださいね。
https://edujump.net/dev/internationaleducation/7000/
著者:岩辺みどり
一橋大学社会学研究科地球社会専攻修士課程修了。日経系列の出版社で雑誌編集記者とし て経験を積んだ後、退社し、独立。学生時代にオーストラリア、アメリカ、イギリスなど に留学し、20カ国以上を旅する。多様性のある社会をテーマに、ビジネスからライフスタ イル、教育まで幅広く取材、執筆する。二児の母。