気になるインターナショナルスクールの内情を保護者やスタッフが答えます!
インターナショナルスクール(以下、インター)に興味はあっても、その実際の学校の日々や生徒たちのリアルな様子は見えてこないという人も多いのではないでしょうか。
学校は、どんな時間割?どんなランチを食べているの?宿題は多いの?どんな子が通っているの?
そんな素朴でリアルな、しかし子どもを通わせるにはとっても大事な疑問に、インターに通わせる保護者やスタッフなど、実際に関わる人達が回答するコーナーです。カフェ気分でお寄りください。
毎日の宿題は、日本の学校では一般的ですが、インターでは学校や学年、そして担任の先生によってもだいぶ異なります。
もちろん日本の学校でも、先生や学校によってかなり内容は変わると思いますが、それでも多いのは教科書の音読、計算ドリルやプリント、漢字練習などが多いのではないでしょうか。
ときには、年代や地名の暗記、最近では探究学習型の調べ学習、というのも増えているようです。
さて、インターはと言うと、1日単位の宿題から週単位、提出締切がかなり先にあるものまで期限も様々。ICTの導入も進んでいるので、タブレットやPC上のアプリや課題に取り組んで、そのままオンライン提出、というのもよくあります。
そして宿題の中身も、全員同じプリントや同じドリルではないことも多々。
今回は小学校高学年~中学生編を実際の生徒さんや保護者の声からお届けします。
学びの深度が上がる年齢層では、どんな宿題が出るのでしょうか?
よく覚えているのは、Year6、7(Grade5、6)年の頃にあった、「第一次世界大戦を再現する」という課題です。材料などは指定はなく、どう作るかはその子次第。
息子は、「ジオラマを作りたい」と100円ショップで爪楊枝や金たわし、ミニチュアの兵士人形などを使って、何日もかけて仕上げていました。
ジオラマを作るためには、当時の武器や戦略など背景を知らなければいけないので、自分でリサーチしていました。
ほかにも、「中世のヘイスティングの戦いを再現する」という授業もあり、ノルマンディー側かイングランド側に分けられて、宿題で自分の盾と斧を作ったこともあります。
このときは、ノーブルハウスシンボルや盾のデザインをリサーチした上で作り、さらにリアル感を出すために写真で使うレフ板などを買って盾を工作しました。材料集めに走り回ったのもいい思い出です。
さらにはこの戦いを、運動場で再現してビデオで撮影し、それを編集するという、歴史、アート、ICTを盛り込んだ、総合的な授業でした。
理科では惑星を1人ずつアサインされて、自分の担当の惑星を徹底的に調べて、学校でプレゼンし合ったこともあります。それ以外にも「ピンホールカメラを作ってくる」という課題も出ましたね。
とにかく、大きなテーマは出されるものの、方法や材料は自分で好きにアレンジできる課題が多かったです。
テーマは与えられるけれども、作り方は自分次第!
そして、作るためにはその時代背景や仕組みなどを、自然とリサーチすることになるという主体的な動機づけがいいですね。
今度は、実際に現在インターの中等部に在籍している生徒さんに教えてもらいました。
ほとんどの先生は宿題を定期的には出さず、授業内で終わらなかった課題などが宿題になることが多いです。それに、もし宿題をやる時間がなくても、きちんとした理由や解決策(他の日に提出するなど)が伝えられれば、怒られることはありません。
時々出される宿題は、グループワークが多かったです。
オンラインでグループでスライドショーを作る、グループでオンライン上でポスターを共同制作する、短い演劇を作り上げる、グーグルドキュメントでエッセイを書く、などありました。
しかし、Grade6(Year7)ぐらいからは、もっと個人単位で取り組むものになってきました。
だいたい自分でプロジェクトのテーマを選ぶことができますが、難しいプロジェクトのときにはペアやグループになって取り組みます。
そして、一人で取り組む課題もペアでチェックし合うこともありますが、提出のときは一人ひとり先生に見せる形です。
グループワークがある場合でも、先生がグループを決めますが、希望によっては自分でグループを移動してもOKになりました。
日本の小学校から、3年生の時にインターへ転校したというBさん。
最初は、与えられたトピックを理解するのも大変だったと言いますが、グループワークが中心だったことで互いに助け合うことができたのでしょうね。
このプロジェクトのトピックも、やはりAさんのように理科や社会課題や歴史、などといった課題のカテゴリーやテーマは与えられるようですが、具体的にこれについてやりなさいと言われるわけではなく、自分でどこを掘り下げるのか考えるのがインター流。
しかし、時には自分でそのトピックを選ぶことはできずに、先生から指定されることも高学年だと増えるそうです。トピックは、クラス全員同じではなく、一人ずつまたはグループごとに異なり、その内容を発表し合う、というのが多いようです。
さて、高学年よりさらに上になりますが、中学生を見てみましょう。息子さんをインターに通わせるCさんです。
中学生の息子の数学の宿題で、「宇宙旅行に出かける」「海底の旅に出る」など4つの異なるシチュエーションから1つ選び、乗り物と一緒に乗る人を決めてお話を作るというのがありました。
旅のゴールを決めて、4カ所を回るお話を作るのですが、その中でも緯度と経度を使って位置を示すグリッドを入れること、最低2段落はこれについて書く、1段落はエピソードを書く、など決められていました。
これに取り組むためには、
「宇宙船って何トンくらいの荷物を積めるのか」「惑星の並びとその距離」「どのくらいの速さで移動が可能か」などを調べなくては進めません。調べた資料やサイトは、すべて参照として明記する必要もあります。
数学の課題ですが、文章力や数学的思考もチェックされていました。
日本の学校で育ったCさんご自身は、同じ頃ドリルを解くような宿題に取り組んでいたそうなので、とても衝撃を受けたと話してくれました。
今回お話を伺えたみなさんは、異なるインターナショナルスクールですが、やはり全体的に「自分で調べ、自分でテーマを考え、自分で方法も工夫して仕上げる」といったような探究型であり、興味関心をそれぞれの子に合わせて広げられる課題が多いようです。
著者:岩辺みどり
一橋大学社会学研究科地球社会専攻修士課程修了。日経系列の出版社で雑誌編集記者とし て経験を積んだ後、退社し、独立。学生時代にオーストラリア、アメリカ、イギリスなど に留学し、20カ国以上を旅する。多様性のある社会をテーマに、ビジネスからライフスタ イル、教育まで幅広く取材、執筆する。二児の母。