世界の教育覇権争いから脱落する日本。
コロナ禍で従来の学校経営が難しい中、シンガポールの2歳から18歳の約3000人が学ぶインターナショナルスクールを中国の教育グループが520億円で買収をしました。
コロナでオンライン化の議論が進む2020年6月、中国の教育グループの中国楓葉教育集団(チャイナ・メープル・リーフ・エデュケーショナル・システムズ)は、シンガポール最大級のインターナショナルスクールを540億円で買収することで合意しました。
国際教育の調査・研究機関を進めるieNEXT編集部は、世界のインターナショナルスクール業界で起きているインターナショナルスクールの買収合戦は、国際教育のグローバル化の進展により、さらに進むと考えられます。
今後、教育業界は世界での競争激化と資本力による寡占化が進むと考えられます。
教育熱が高い中国
海外志向の高い富裕層を中心にインターナショナルスクールが急増
インターナショナルスクールは、英語で教えるためカリキュラムと人材採用と育成など学校経営のノウハウを蓄えると他国でもローカライズし、展開ができます。
シンガポールのインターナショナルスクールを中国資本の教育グループが買収姿は、国を越えた「教育覇権」の獲得と考えられます。
中国楓葉教育集団は、シンガポールのインターナショナルスクールを買収することにより、シンガポールのインターナショナルスクールを手中にするだけでなく、シンガポール在住の華僑のみならず、在校生に中国の文化や中国語を伝えることができます。
すなわち、世界のインターナショナルスクールを買収することによって、幼児から高校生まで学校生活の中で、旧正月などの中国の年中行事、中国語をはじめとした中国文化に触れさせることができます。
これにより教育の刷り込み効果により、より中国ファンを幼少期から育てることができます。
「教育覇権」の最大の利益は、中国資本のインターナショナルスクールで学ぶ優秀な生徒を、中国の大学や研究機関に就職させる導線になることです。
もちろん、中国の大学や研究機関、企業に就職しなくても、中国びいきの人材が多いことは結果的に中国の国益につながります。
中国の教育グループは、世界と未来を見据え、グローバルな展開を進めています。
幼小中高から中国ファンを世界で作り、優秀な人材に中国ファンになってもらう。
この戦略は、習近平総書記の母校である清華大学が世界大学ランキングでアジア1位になった「教育覇権」戦略の続きです。
世界で優秀な頭脳を獲得する。
IT化、グローバル化する中で優秀な人材、頭脳の獲得に繋がる「教育覇権」は、国の未来の発展に繋がっています。
グローバルな資本力とともに「教育覇権」を拡大する中国に対し、日本の「教育覇権」は世界で脱落し、ガラパゴス化しています。
引き続き世界と日本の教育格差を中心に国際教育の調査・研究機関を編集部は、情報発信を続けていきます。