大学の国際化
日本の大学における国際化は、これまでも「留学生30万人計画」や「国際化拠点整備事業(グローバル30)、「Go Global Japan」など、高等教育における国際化を推進すべく、様々な施策を講じてきている。
2014年文部科学省により創設された「スーパーグローバル大学創生支援事業(SGU)」では、「トップ型(世界大学ランキングトップ100を目指す力のある大学)」に13大学、「グローバル化牽引型(我が国の社会のグローバル化を牽引する大学)」に24大学が選定され、世界トップレベルの大学との交流・連携を実現、加速するための取組や人事・教務システムの改革、学生のグローバル対応力育成のための体制強化などを進めてきている。
目標として、2023年までに外国人留学生の数を73,536人(事業開始前である2013年の約2倍)、単位取得を伴う日本人留学経験者数の数を61,622人(キャンパスの約10人に1人が留学経験者になる割合)にすることを具体的な目標を掲げて目指している。
大学教育における国際化は、企業側からも強く求められており、「Society 5.0に向けた大学教育と採用に関する考え方」(2020年3月31日 採用と大学教育の未来に関する産学協議会)においては、大学卒業までに身につけておくことが必要なリテラシーの一つとして「外国語コミュニケーション力」が挙げられている。Society 5.0に求められる能力を育成するには、大学において海外留学体験などの拡充が有効であるとされており、企業側としても「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の推進や「経団連グローバル人材育成スカラーシップ事業」などにより、大学生の長期海外留学を奨励してきている。
このように日本の大学の国際化は、企業側からも強く求められてきており、国際社会で活躍する人材の育成は急務の課題となっている。そのため、近年では語学留学や交換留学、留学生の受け入れに留まらず、各大学によって様々な形で国際化が推進されてきており、日本の大学と海外大学の2つの学位を同時に取得できるダブル・ディグリー・プログラムなども増加傾向にある。
一方で、海外大学が日本にキャンパスを展開するケースも増えてきており、2005年にテンプル大学がジャパンキャンパスを開校して以降、現在は5大学(2019年7月2日時点)が日本校の指定を受けている。
日本国内にいながら、海外大学の日本校へ進学することで、海外大学の学位を取得できる環境も整いつつあり、日本の大学の国際化が進むと同時に、海外大学の日本キャンパスを展開するなど、進路の選択の幅は大きく広がってきている。
寄稿:立命館大学 今川新悟氏