2. STEM/STEAM教育のよくある誤解
STEM教育、STEAM教育のよくある誤解として、以下のようなものがあります:
- STEM教育を強化するため、それぞれの頭文字が代表する個々の科目に多くに時間を割く
- STE”A”M教育においては、Arts分野をSTEMと同程度に時間を割く
STEM/STEAMは「21世紀の課題を解決する教育はどうあるべきか」という問題意識から発生したものです。そのコンセプト自体に「現実課題に即したテーマや課題をベースに行う問題解決型学習・プロジェクト型学習」という教授設計が組み込まれています。
STEM/STEAMを意識し、主張する学校は、それぞれの頭文字が代表する個々の科目において、単に授業時間を増やしたり、プログラミングをやってみたりする事以上に、現実に関連したテーマを頭と手足を使って解決していく問題解決学習を行うことを意識する必要があります。
また同様の理由から、科目横断型のカリキュラムを一部導入するといったことも必要でしょう。
STEM/STEAM教育の本質は、科目単位で大量に内容を記憶する学習ではなく、現実に関連したテーマを頭と手足を使って解決していく問題解決学習なのです。
2020年本格施行の日本の新学習指導要領改訂の議論の時にもしばしば使用された「アクティブ・ラーニング」も、日本の教育における問題解決型シフトの方向性が提示されました。
この問題解決・科目横断型教育は、言うことは易しいが、教育として意味を持たせる実践は容易ではありません。国際バカロレアの探究型学習を通じて実践する立場として、教授設計上での重要な課題点を2つあげます。
- 先生の技量に大きく左右される
- 供給側の問題として、全国に普及させるべき教育として拡がりずらい
- 教育の成果が可視化されにくい
- 授業側の問題として、記憶中心教育で育ってきた保護者の理解と納得が得られにくい
上記が解決された課題解決・科目横断型教育でなければ、学びに至らない、学習のない”体験”となってしまいます。
プログラミングを例にとると、学校現場やアフタースクールで実施されるプログラミング教育が、STEM/STEAM教育となっているかどうかの本質は、問題解決型の学習の機会となっているかどうか、といえるでしょう。