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連載5: 国際バカロレア幼児初等カリキュラムPYP(3歳~12歳)の基礎知識

6. PYPにおける生徒の評価

以上、PYPでは何を、どのように学ぶのかを見てきました。最後に、PYPではそれらをどのように評価をするのかを見ることとします。評価基準と方法が無ければ、学んだことを確かめようが無いので、「評価」はカリキュラム、授業方法と同じ位、教育者にとっては重要な検討項目です。

IB校は、教師や保護者も含めて協働で作りあげた、各校独自の評価方針(Assessment Policy)の策定が義務付けられています。

評価手法というと、ペーパーテストが思い浮かぶと思います。しかしPYPは、先に述べた「姿勢」「行動」など、ペーパーで図れない内容が多そうだ、と感じた方も多いでしょう。ではどのように学びを評価するのでしょうか。

PYPにおいて、評価の要素は、「評価」「記録」「報告」の3つに分けられます。以下ポイントを記載します。

評価

一般的に、評価には2種類のものがある。

形成的評価:探究の過程で定期的に高い頻度で実施される。教師は、児童がその時点で何ができているか、できていないかを確認し、次の学習フェーズを計画するために役立てる。また次回の改善に役立てる。

総括的評価:学習目標と指導計画の達成度合いを確認するため、学習過程の最終段階で実施する。

記録

評価を記録する方法は、ペーパーテストを思い浮かべそうですが、1つではありません。PYPでは、学習させたい内容が、知識のみならず、概念・スキル・態度・行動と広範囲にわたります。例えば、英単語を記憶したか(知識)、文字が書けるようになったか(スキル)など、知識、及び概念・スキルの一部はペーパーや実技テストで確認できます。

しかし「態度」や「行動」はどのように測定するのでしょうか。この、認知・運動領域を超えた情意領域=「心」の領域は、目標を達成したかを確かめるのは容易ではないのです。

そこでPYPでは評価方法としては以下の5つを示しています。

観察:
教室全体の観察、一人に焦点を当てた観察、教師が参加しての観察、参加しない形での観察、がある。

パフォーマンス評価:
与えた課題に対する、予め定めた評価基準に基づく評価。答えが一つでない課題に対する評価の実施に適しており、映像などで記録し評価する。

プロセス重視の評価:
チェックリスト、一覧表などにより、観察した内容を記録していく方式

一問一答形式:
少テストなど

オープンエンド型課題:
明確な課題でない、オープンな課題について、記述やイラストなどにより返答をするもの。

そして、上記評価方法を実施する際の評価基準ツールとして、以下があります。

ルーブリック:日本でも広がってきている、児童評価のための指針表
評価測定表:学習の発展フェーズを示した表。児童がどのフェーズにいるかを示すもの。
模範例:児童の作成したもののうち、見本となるもの。
チェックリスト:スキルの到達度を把握する実技テスト実施の際に欠かすことができないもの。合否を決定する実技ポイントを箇条書きにしたもの。
ドキュメンテーション:児童の観察を記録したもの。主観をいれずに既述記述することが求められる。

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