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連載5: 国際バカロレア幼児初等カリキュラムPYP(3歳~12歳)の基礎知識

5. 家庭でもできる探究型学習の問いの作り方

次に、PYPではどのような授業が行われるのかを考察してみます。前節で紹介した「知識・概念・スキル・態度・行動」の5つの要素を、どのように学習によって獲得するのでしょうか。

反復練習やドリル学習もそれなりの意味と役割があることは、教育の世界でも広く認識されています。例えば言語習得にはある程度の記憶が必要であり、記憶のためには反復練習やドリル学習は有効です。しかし、探究テーマに基づく指導は、一方通行の授業、ドリル型の学びとは本質的にはそぐわないものです。

このような点は、IBカリキュラムを選択するかどうか、悩む保護者にとっても判断が分かれるところでしょう。

探究型学習の構成要素

PYPは科目別ではなく、探究テーマを通じたカリキュラムとなっていることを紹介しました。ここで改めて探究という行為は何で構成されるのかを考えてみると、以下のような活動が想起されます。
———-
・質問する
・調べてみる
・実験する
・これまでの学習と新しい学習を関連付ける
・計画を立てて行動する
・データを集める
・概念を応用して理解を深める
・仮説を検証する
・問題を解決する
———–

これらを、「探究選択(Choice)」→「行動(Action)」→「振り返り(Reflection)」の学習のサイクルを通じて学んでいくのですが、例として、家庭でも対話を通じた親子の探究型学習に役立つと思われる「質問する」に焦点をあてて、どのような探究のきっかけを作るのか紹介します。

家庭でもできる、好奇心と探究を誘発する質問の作り方

子どもの探究心を引き出すために、PYPでは8つのキーコンセプトというものがあります。PYPのクラス展開のために教師も行っている手法にもならい、分かりやすく、子どもたちにとって身近な「家族」を例に取ってみることとします。

事例Example – Applying eight concepts to “Family”

特徴:Form 「どんなもの?(特徴)」
かぞくってなにかな?
だれがかぞく?ワンちゃんは?

Function「どういう仕組み?(機能)」
パパはなにしているのかな?

Causation「なんで?(理由)」
ワンちゃんは家族なの?どうしてかな?
お父さんはどうしてお出かけしに行くのかな?

Change「こうなったら次どうなる?(変化)」
あなたは大人になると体はどう変わるかな?
お母さんは年を取るとどう変わるかな?

Connection「これがこうなら他のものはどうなのか?(関連)」
お友だちの家族と同じこと、違うことはあるかな?
ワンちゃんが家族だったら、遠くのおじいさんおばあさんは家族かな?

Perspective「違う見方はあるかな?(視点)」
お父さんとお母さんの役割は同じかな?違うかな?どうしてそう思う?

Responsibility「あなたがしなければいけないことは何?(責任)」
おうちでは何かお手伝いをしてるいるかな?

Reflection「振り返って見よう(振り返り)」
どうやって、誰が家族なのかをしることができるかな?
今日のお話し合いで何を学んだかな?

このようなオープンエンデッド・クエスチョン(Yes/Noでない問い)を通じ、「どうして?(How?)」「なぜ(Why?)」が繰り返して考え、話し合って行きます。IBに限らず、ケンブリッジ国際の教科書を見ても、オープンエンドの問いかけや、話合いの機会が織り込まれています。

人前で発言するということは恥ずかしいことでも難しいことではなく、3歳でも、12歳でも、12歳でも、子どもの関心領域好奇心と合致すればどんどん考え、発言するようになります。

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