3.好奇心 – あらゆる能力の「着火剤」となるもの
ビジネスパーソンにとって必須となる力について、大前研一は様々な著書において「21世紀の3種の神器」として
・論理的思考力
・リーダーシップ
・英語
をあげており、またその先としてICTスキルも修得すべきものと述べています。
これらの基礎は幼児・小学校期からその基礎を育むことができます。
例えば思考力は、知識を効率よく獲得するだけではなく物事を正しく理解し、判断する、あらゆる学習分野の基盤(パソコンで言うオペレーションシステム=OS)となるものです。小学校の学習指導要領も、思考力をより重視するようになりました。また、英語力も、別の連載で述べるように幼児期からスタートすることは大きなメリットがあります。
インターネットによって、一般的な情報や知識はGoogle検索で容易に獲得できるようになり、記憶することの価値は大幅に減じています。さらにいまや、高速で正解を提示するAIが進化発展を遂げる中、答えのない問題を、思考力とリーダーシップで、何語であっても解決する力が重要視されます。
そのためのOSとなる「考える力」が弱く、日本国外で活躍するための「英語」が弱いままでは、思うようなコミュニケーションもとれず、良いアウトプットを出せないでしょう。
すでに子どもの英語教育と、思考力の教育は、直感的にも必要だろうと問題意識をお持ちの読者も多いと思いますし、そのような早期教育を授けている保護者も多いと思う。
ここで振り返っていただきたいのが、前項で紹介したペリー・プリスクールプロジェクトで行われた教育の中身です。そこで見てきた、人生で成功する可能性を高める教育内容は、いわゆる早期教育・詰め込み教育というより、子どもの発達段階に合わせて「好奇心」を引き出すような教育であった、ということです。
「好奇心」の重要性は、世界最大の幼児教育カンファレンスであるNAEYC等のワークショップに参加すれば、当然のように毎年言われることです(このNAEYCは、3年前に参加した際に日本人の参加者はたった数名程度でしたが、中国からは毎年百名以上単位で参加者があります。中国は、世界の教育の最新の知見を常に学び、自国でアレンジしようとしている姿勢があるように思います。)。
インターナショナルスクールの経営をする私としては、英語や、思考力を育む教育を、子ども期に積極的に行うことは異論はありません。
しかしそれよりも幼少期に身につけるべきものとして大事なものは、「好奇心」です。
生涯にわたって重要となる思考力も、リーダーシップも、英語力も、幼少期に育まれた「好奇心」が人生にわたって原動力となります。好奇心は、私の大好きなキャンプに例えるなら「着火剤」、より一般的に言うならば、「電気・電源」のようなものです。
電源が無ければ優れたOSを持つパソコンも動かないように、思考力、リーダーシップも、好奇心が無ければ長続きしません。好奇心が全ての源泉で、これは、幼少期にもっともよく育まれるべき力、というより「心」です。