「大学受験」この4文字は、「艱難辛苦」と書き換えることができるほど重苦しい響きがありますね。
「学歴」も自分史のひとつですね。
今回は、ずばり日本の「インターナショナルスクール卒業生の大学受験」についてまとめてみました。
2015年以降、インターナショナルスクール卒業生の進学先に変化がありました。
これまでほとんどのインターナショナルスクール卒業生が、アメリカやイギリスなど、海外の大学に進学していました。
しかし、文部科学省が「国際バカロレア200校計画」を掲げたため、国際バカロレア入試が日本の大学で次々に取り入られました。
これによりインターナショナルスクール卒業生が日本の大学に進学しやすくなりました。
スクールや生徒により異なるのですが、多くのインターナショナルスクール卒業生が海外に進学しています。
なぜ、インターナショナルスクール卒業生は海外に進学するのか?
意外な事実かもしれませんが、インターナショナルスクール卒業生にとってすべてを「日本語」で授業を受け続けるのは、学ぶ言語が変わることになるため、慣れない学習環境です。
インターナショナルスクールの授業は、主に英語で教わります。
そのため生徒は英語で授業を受ける手法を中心に学びの体系が作られています。
すなわち、英語で学べる環境がインターナショナルスクール卒業生にとって、「楽」で「効率的」なのです。
日本のインターナショナルスクール卒業生にとって、普段の学習環境がグローバル化しているが故の逆の「言語の壁」が待ち受けています。
しかし、世界で学べることは、国内では選択肢が少ないようですが、実は、世界では膨大に選べるのです。
例えば、英語で学べる大学を選ぶとアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏の大学が選択肢に上がります。
しかし、近年は純粋な英語圏に留まらず、学費がリーズナブルだが教育の質が高いアジアの英語系大学、シンガポール国立大学や東欧の医学部(チェコ、ハンガリーなど)も人気です。
インターナショナルスクールに通う生徒は、英語で学べる力が養われていくため、世界中の大学から自分が学びたい大学を選べます。
すなわち「日本の大学を選ぶ」という枠から離れ「世界から大学を選ぶ」ことができるのです。
そして、大学卒業後もその恩恵を受けます。
それは、働く環境も活躍するフィールドも世界から選べるのです。
インターナショナルスクールで学び、大学受験をすること。その先には、世界で活躍するフィールドが待っています。
日本標準?世界標準?受験制度
はっきりしているのが、受験制度が異なる点です。
インターナショナルスクールの探究的な学び方は、日本の暗記中心の大学入試と仕組み的に合いません。
例えば、歴史上の出来事を和暦で100ページを暗記するよりも、「なぜ、その出来事がその年に起きたのか?」を学ぶインターナショナルスクールの学びは、どれだけ暗記したものが正しかったか、を得点とする日本の入試制度に合いません。
インターナショナルスクールの生徒も基礎学力で暗記はします。
しかし、アウトプットの仕組みが異なります。
例えば、自然科学で地球温暖化を学んだ場合、CO2の排出量がどの国が増えたか、を時代と共に相関的に暗記し、比較できることを求められるのが日本の学校の定期試験だとします。
インターナショナルスクールの生徒は、その要因を歴史的、環境的、人口増の要因など複数の要因から分析し、1990年と2020年のCO2の排出量の増加について仮説を作り、検証する分析レポートを提出する定期試験を受けてきています。
単純暗記の正確性だけではなく、知識を複合的に合わせてアウトプットすることが求められる授業を積み重ねています。
そのため日本の受験制度の単純知識の暗記の正確性は、インターナショナルスクール卒業生にとって普段の試験や学びで特化していません。
そのためインターナショナルスクール卒業生が日本の大学を受験する時に、AO入試や帰国生入試で「何をどのように学んできたのか?」を提出して合格してケースが多いのは、学びの体系の違いに合わせた受験といえます。
インターナショナルスクール卒業生が、もうひとつ悩むポイントがあります。
それが、インターナショナルスクールの卒業するタイミングです。
多くのインターナショナルスクールは、6月に卒業し、欧米の大学に9月入学していきます。
一部、9月入学の大学も増えましたが、いまだに4月入学が中心ですね。
そのため大学入試の翌年1月、2月までタイムラグがあり、さらに入学まで9ヶ月もブランクができます。
この9ヶ月問題もインターナショナルスクール卒業生が日本の大学を避ける理由のひとつです。
日本の大学を選ぶインターナショナルスクール卒業生が増えている。
先ほどからインターナショナルスクール卒業生が日本の大学受験制度と合わない点を指摘してきました。
しかし、大学側もインターナショナルスクール卒業生を迎え入れる制度を作り始めています。
特に2015年以降、日本の大学に進むインターナショナルスクール卒業生が増えています。
その背景には、アメリカの大学の授業料と寮費が年々、高騰していることなども挙げられます。
日本の大学は、「国際バカロレア200校計画」により、英語で学位を取得できるプログラムを増やしてきました。
グローバル化や少子化の流れの中で、より多くの外国人を受け入れことを目的としたものですが、インターナショナルスクールに通う生徒にとって日本の大学受験に新たなルートが増えることになりました。
さらに世界大学ランキングで日本の大学がアジアトップから陥落したため、英語で学べるコースを東京大学をはじめ各大学が開講しています。
例えば、東京大学の教養学部PEAK、早稲田大学国際教養学部、慶応大学SFCなどは英語で学べるためインターナショナルスクール卒業生に人気です。
また、上智大学でも新たにスタートするなど、さらなる広がりを見せています。
また少数ですが、日本語で授業が行われる日本の大学に進学する生徒もいます。
インターナショナルスクールの卒業は、6月のため、受験までの半年間を予備校に通い大学受験をするのです。
6月卒業、翌年4月入学は、半年以上のブランクが生じますが、AO入試、あるいは帰国生入試がない学部や学科などは、一般入試で受験する必要があります。
インターナショナルスクール卒業生にとって日本の大学の一般入試は、問題文が日本語であり、暗記型が多いため不利といえます。
日本の大学に進学したインターナショナルスクール卒業生のその後
最後に日本の大学を卒業したインターナショナルスクール卒業生の就職先について触れみましょう。
・日本企業に就職(少数)
・外資系企業に就職(多い)
・国際弁護士、会計事務所に就職(一般的)
・コンサルティング会社に就職(一般的)
・起業(意外と多い)
大学やインターナショナルスクールで築いた友人の輪を最大限に活用して、海外で就職するケースもあります。
日本の学校ルートの卒業生と比べて独立・起業している人が多いのも、インターナショナルスクール生の特徴でしょう。
勿論日本企業に就職し、活躍されている方も多くいます。ですが企業の大小にかかわらず、やはりグローバルな日本企業を志向する傾向はありますね。
ソニーの社長も務められた平井一夫さんも、インターナショナルスクールご出身です。
日本の大学を選択したからと言って、海外で活躍する道が閉ざされるということはありません。
編集部が多くのインターナショナルスクール卒業生が社会で活躍する姿を見ていると、1つの会社に定住するよりも、自らのステップアップを探しているケースが多いといえます。
就職し、ビジネススクールやロースクールなど模索する卒業生が多いのも特徴です。
インターナショナルスクール卒業後の進路について、その可能性の大きさを感じていただけたでしょうか。
海外の大学に対するハードルの低さはもちろんですが、日本の難関大学に入学できる可能性が広がるのも魅力的ですね。
海外だけでなく、日本の大学に進学したい場合も、インターナショナルスクールで学んだ学び方や経験が生かされます。
インターナショナルスクール卒業生がどのような大学に進学していくのか、編集部も卒業生インタビューなどを通してお伝えしていきます。
インターナショナルスクール卒業生の大学受験からお子さんの未来をイメージするのも楽しみですね。
参考
上智大学プレスリリース
2020年秋学期から新たな英語学位プログラム「Sophia Program for Sustainable Futures」を新設
https://www.sophia.ac.jp/jpn/news/PR/2018/press1026SPSF.html