2000年以降、多様性と国際化のある開校が増えました。
社会はITとともにグローバル化が進みました。
編集部は、この20年の教育を振り返りカオスマップを製作しました。
その結果、多様な学びが進んでいることを実感しました。
*加筆・修正 2021年8月13日 リニューアルしver3.0を公開しました。
▽ こちらが一条校のカオスマップです。
① 2000年以降に開校した学校カオスマップ:シェア歓迎です!
2000年以降に開校された一条校で抜けている学校がありましたら、編集部までご連絡ください。
https://edujump.net/dev/aboutus/299
編集部が2000年以降の教育の変化を調べたところカオスマップは、2つに分類しました。
① 2000年以降に開校した一条校のカオスマップ
② 2000年以降に開校したインターナショナルスクール、オルタナティブスクール(公開予定)
社会の変化とともに「学ぶ仕組み」がどのように変化しているのか、をお伝えします。
地方の学校が元気!
編集部がカオスマップを作成していると気付くのが開校した半数が国際バカロレアをカリキュラムに採用しています。
また、地方で開校する学校が増えています。
鳥取県は、47都道府県で人口が少ない県ですが2014年に開校した青翔開智中学校・高校は、6年一貫の探究プログラムと伸び伸びとした校風が人気です。
長野県の軽井沢の風越学園、イエナプランの大日向小学校が代表例です。
開校の背景には、大人数の一斉教育から、少人数個別学習にシフトする開校の姿が見えてきます。
同時に多様化と国際化した学びが増えています。
多様性と国際化
2000年以降、開校した学校を分類すると公立、私立ともに軸は、多様性と国際化です。
先駆的な例として沖縄県の沖縄アミークスインターナショナルスクールは、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の開学とともに開校しています。
長野県のUWC ISAK Japanは、国際バカロレアを採用し、その後、UWC加盟校として、ISAKモデルとして地方創生の新しいモデルとなりました。
愛知県に開校予定の国際高等学校は、国際バカロレアにビジネススクールのケースメソッドを特徴にしてします。
広島県に開校した神石インターナショナルスクールは、日本初の小学生を対象としたボーディングスクールです。
ゴルフ場、牧場に隣接し、リゾート型のキャンパスで英国式のボーディングスクールとして開校しました。
海外の名門ボーディングスクールにネットワークがあり、卒業生は、スイス、イギリス、アメリカなどに進学すると考えられています。
国際バカロレアで私立がさらに多様に
茨城県の開智望小学校・中等教育学校は、国際バカロレアを異学年で学びます。異学年で探究的に学ぶことで、多様な視点やリーダーシップ、ケアリング(思いやり)などIBのラーナープロファイルがコアになっています。
山梨県の山梨学院小学校は、10の領域を学びながら、それぞれの領域が相互に連携し、よりグローバルな学力を形成する授業を展開しています。
群馬県のぐんま国際アカデミーは、小中高一貫IB校で圧倒的な英語力で学ぶことができます。
京都府の同志社国際学院初等部は、初等部はIBで学び、その後、同志社の附属中学校に進学できます。
大阪府の大阪国際中学校・高等学校は、学び方も輝き方も自由自在と理念で掲げ、松下町に新キャンパスを2022年4月に開校予定です。
兵庫県淡路市にあるAIE国際高等学校は、広域通信制の高校ですが、日本語DP実施校で週5日通学コース、レジデンスコースの国際科が国際バカロレアを学ぶことができます。
広島県にあるAICJ中学校・高等学校は、西日本第一号の国際バカロレア(IB)認定一条校で、近年は80%以上の取得率です。
岡山県にある朝日塾中等教育学校は、中国地方第一号の国際バカロレア(IB)認定一条校で、日本語DP実施校寮も選択できるIB校です。
福岡県のリンデンホールスクール中高学部は、英語イマージョンでIBが学べ、海外の進学も増えていいます。
探究型の英語イマージョン
探究型の英語イマージョンは、群馬県佐波郡玉村町にフェリーチェ玉村国際小学校、神奈川県相模原市にLCA国際小学校、静岡県に聖隷クリストファー小学校、愛知県に瀬戸SOLAN小学校が開校しました。
特区による株式会社立の小学校が増えています。
英語教育に特徴がある国際小学校が株式会社立で増えている傾向があります。
STEAM教育と国際化のコラボ
STEAM教育と国際教育、学校が増えています。
ドルトンプランで学ぶSTEAM教育に力を入れたドルトン東京学園は、中等部・高等部を開校しました。
ドルトンプランで学ぶ同校は、なんとSTEAM教育のための新校舎を一棟建築中です。
高専ルネッサンス
高等専門学校(卒業時に準学士)は、STEAM教育の元祖といえます。
石川県の国際高等専門学校は、理工系リベラルアーツ教育に特色があります。
国際高専の母体は、就職率ランキングでもトップの金沢工業大学です。
大学との連携により、国内外のリベラルアーツと理系教育で高専の強みをボーディングスクールにしています。
徳島県に開講する神山まるごと高専は、町丸ごとシリコンバレー化の計画があり、どのような学校になるのか注目が集まります。
滋賀県が開校を宣言した滋賀県立高専(名称は未決定)は、近江商人発祥の地が高専でどのような学びを計画するか、関心が集まります。
地域性とSTEAM教育で従来の高専から高専ルネッサンスが注目されています。
公立校は、国際バカロレアを軸に開校へ
公立校も国際バカロレアを軸に2000年以降、開校が増えています。
北海道札幌市は、国際バカロレアの市立札幌開成中等教育学校を開校しました。
大阪市は、国際バカロレアの大阪市立水都国際中学校・高校を開校しました。学校そのものは、公設として大阪市が建て、国際バカロレアの学校経営は、大阪YMCAが民営で受託しています。
広島県叡智学園は、全寮制の国際バカロレア校として中学校・高校を開校しています。
神奈川県立横浜国際高等学校は、神奈川県立外語短期大学付属高等学校と神奈川県立六ツ川高等学校を再編統合し、開校しました。
広島県立高知国際中学校・高校は、国際バカロレアの国際バカロレア校として中学校・高校を開校しました。
広島県福山市は、国際系公立小学校を開校予定です。
国公立は、国際バカロレアを一つのポイントとして、より多様な学びの仕組みが各地で試みられています。
校舎のあるリアルスクールという学びに対して、オンライン型と呼べる通信制の学校も増えています。
広域通信制高校
広域通信制が2000年以降、株式会社立で高校として開校しています。
文部科学省はの「学校基本調査」は、高校生の15人に1名が通信制に通っていることからも全日制、定時制の第三の軸として通信制高校が人気になっています。*1
*1(出典)文部科学省「学校基本調査」
https://www.mext.go.jp/content/20200115-mxt_koukou01-000004175_5.pdf
普通科と併設した学校や専門的なコースを開講しています。
また、全日制のように通学でき、全国に学習センターがある広域通信制高校も多くあります。
在籍生徒数18,000人を越えたN高等学校は、通信制のサポート校として全国に波及させました。
N高は、沖縄県うるま市にありました。
N高等学校 https://nnn.ed.jp/
茨城県に開校したS高等学校もN高と同じコースです。
S高等学校 https://nnn.ed.jp/
ゼロ高等学院は、「ゼロがイチになれる場所を創る」をコピーにしているゼロ高等学院は、HIU(堀江貴文イノベーション大学校)の堀江貴文さんが主宰しています。
ゼロ高等学院 https://www.zero-ko.com/
Loohcs高等学院は、日本全部がキャンパス、移動する学校とし、「学ぶことはつくること。つくることは学ぶこと。」をコピーにしています。
Loohcs高等学院 https://loohcs.co/
広域通信制と世界で探究型
広域通信制のサポート校の仕組みは進化しています。
インフィニティ国際学院は、世界で探究学習をする学びが特徴です。
広域通信制は、調べていくと2000年以前にクラーク国際など全国規模の広域通信制が開校しています。
今回は、2000年以降の開校した広域通信制のリストです。
北海道
北海道芸術高等学校 https://www.kyokei.ac.jp
福島県
大智学園高等学校 https://www.daichi.ed.jp
茨城県
ルネサンス高等学校 https://www.r-ac.jp/qa/tsushin/
茨城県
水戸平成学園高等学校 https://mitoheisei.ac.jp/quality/
栃木県
日々輝学園高等学校 https://www.hibiki-gakuen.ed.jp
長野県上田市
さくら国際高等学校 https://www.sakura-kokusai.ed.jp
東京都
第一学院高等学校 https://www.daiichigakuin.ed.jp
熊本県
勇志国際高等学校 https://www.yushi-kokusai.jp
カオスマップを作成して
編集部はカオスマップを作成して感じるのが、多様な学びの選択肢が増えていることです。
大学は、2000年以降の開校についてどのように捉えているでしょうか。
編集部は、立命館大学でグローバル戦略を推進する今川新悟氏にコメントをいただきました。
立命館大学では、多様性の中で学び合うことを重要視しており、海外、全国から学生を募集しています。
開校する学校の半数がIB校ということも注目ですが、IB校の卒業生は、国内だけでなく海外にも進学しています。
これまでは、国公立や難関私大への進学実績を売りにしてきた高校が、海外大学の進学実績をアピールするようになりました。
トビタテ!留学JAPAN などで海外留学に注目が集まる中、生徒・保護者も海外大学への進学に価値を感じてきています。
特に国立大学志向が強かった地方が、自治体が中心となってIB校を新設することの意義は大きく、海外大学への進学に価値を感じ始めています。
地方の公立校が地方創生で、新設校としてIBを取り入れたケースが増えています。
都市部や私立だけで提供されてきた国際的な学びを地方かつ公立で誰もが受けられる環境となってきています。
多様な学びがさらに
公立の不登校のための岐阜市立草潤中学校のように地域に求められる課題を解決する学校設立もあります。
地域に根付いた学びを模索する動きと同時に国際化、多様性、STEAM教育と広がっています。
注釈:本カオスマップは、2000年以降に開校した学校法人の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校をカオスマップにしています。
幼稚園、保育園、子ども園などの幼児教育は掲載されておりません。また、少子化で統廃合された小学校、中学校などは掲載しておりません。